11月1日、韓国ソウルの青瓦台で行われた「安倍首相、李克強首相、朴槿恵大統領」の会談は、「日中韓自由貿易協定(FTA)交渉について、早期に妥結すべきであり、交渉加速の努力をすることで一致した」と言うことが発表されました。
さらに「北朝鮮の非核化に向けた具体的な行動をとるよう、3カ国で連携して北朝鮮に強く訴えていくことを確認した」と言うことです。
また、「3カ国は地域と平和、繁栄、そして国際社会の安定に大きな責任を共有している。さまざまな課題に協力し、責任を果たしていくことが期待される」と言うことで、「3カ国の協力プロセスを正常化できたことは大きな成果だ」とは安倍首相の言葉です。
安倍首相は、「この3カ国首脳会談を定例化して、日本で来年開催したい」と述べ、「本日の前向きな議論を出発点に、来年日本で行われるサミットを実り多きものにしていきたいと考えています。」と締めくくっています。
会談は経済問題が中心だったようですが、やはり気になるのは「歴史認識の問題」と「慰安婦謝罪問題」そして「南シナ海問題」です。
李首相は、「協力は歴史など敏感な問題に善処する上に成り立つ。こんなに近い国であっても、一部の国はいまだに深い理解が成り立っていない」などと述べて安倍首相に食いついたようです。
さらに李首相は「歴史問題は日中関係の基礎と13億人の中国人民の感情に関わる。日本側が十分にこの高度な敏感性を認識し、これまでの約束事を適切に厳守し、正しく歴史を正視、反省し、責任ある態度で問題を処理することを望む」などと述べたそうですね。
「13億人の中国人民の感情」を害すると、日本ではなく中国共産党が危機的状況になるという意味でしょうね。そう見れば言っていることの意味は解ります。
これに対し安倍首相は「特定の過去ばかり焦点を当てる姿勢は生産的ではない」と反論したようですね。その上で「日韓、日中には協力と発展の歴史がある。日中韓協力の前向きな歴史をさらに紡ぎたい」と、未来指向の話で切り替えしたとか。
議長国の韓国、朴槿恵大統領は討論ではなく、“もてなし”の度合いで差を付けたようです。李首相には朴大統領との夕食会が用意され、安倍首相には「実務的な訪問」ということで、食事会などは用意しなかったとか。まあこのような対応ならば我々も気にしなくて済みますね。
朴大統領は、中共に配慮し、南シナ海問題を議題として取り上げるのを避けたようです。しかし安倍首相は、中共による南シナ海での岩礁埋め立てと人工島建設について懸念を伝えたようです。しかし公式には発表されていません。
日本政府筋は歴史認識を含む懸案事項の議事について「お互いに公表しないことで会議を閉じることになった」と詳細を明かしておりません。
東シナ海のガス田共同開発については、再び「共同開発の協議再開を目指す」などということで「合意をした」そうですが、おそらく中共のリップサービスというところでしょうか。そんな気が中共側にないことは目に見えております。
TPP交渉で基本的な合意がなされたことに、中共側は焦りを感じているようです。韓国はTPPに参加することを望んでいるようですが、そうはさせない中共の牽制もあると言うことです。
安倍首相は、「TPP基準」を基にして「日中韓FTA」を構築しようと画策しているようです。しかし日中韓のFTA交渉は関税撤廃に向けた枠組み自体がまとまらないままですし、韓国は歴史問題などを通じて中共寄りの姿勢を崩していません。
「TPP基準」を、今後の事実上の自由貿易ルールの世界基準とすることが出来れば、日中韓FTAも、チャイナマネーの“ばらまき”を背景に自国のルールを押し付けようとする中共の経済的覇権を抑止する効果が期待できるそうです。
勿論中共は、「TPP基準」などを日中韓FTAに持ち込む気はないでしょう。これからはTPP基準を基にしようとする日本と、中共を中心とする日中韓FTAのルールにしようとする中共とのせめぎ合いが繰り広げられることになるようです。
まあ、いろいろあってほとんどまとまらなかったようですが、3カ国首脳会談を定例化することでの合意はなされたようですね。
来年は日本で開催すると言うことです。来年の何月かは判りませんが、それまで中共経済はもつのでしょうか?
日中韓FTAが「TPP基準」でまとまれば、日中の貿易は信頼が出来るものになるのでしょうか。そして中共の自由かがさらに進むでしょうか。
歴史問題などについては、物別れになったようですが、日本を悪者にする習主席とはちょっと違った李首相の対応だったようです。
南シナ海問題は、公表しない、いわば秘密交渉になったようですから、今後は中共国内の習主席と李克強首相の力関係がどう変化していくのか、そこら辺が注目点になるように思います。
ユネスコでは、南京大虐殺の記憶遺産登録に「待った」がかかったようです。習政権は今後衰退し、李克強首相の権力が強くなっていくかも知れませんね。
また、南シナ海の問題が今後も秘密交渉として継続するならば、日露間の北方領土交渉も、同じような秘密交渉として継続することも出来るはずです。
このような方法が定着すれば、拉致問題も動きやすくなるのではないでしょうか・・・
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