タイでは、タイ貢献党のインラック・チナワット氏が首相になりました。
美人の首相で44歳という若さ。どのような政策が始まるのか気になりますね。
なでしこジャパンの活躍などもそうでしたが、どうやら男性よりも女性が主導する傾向が、世界的に出てきたような気もします。
このチナワットとは、タイ名門のチナワット家のことを指し、タクシン元首相は彼女の兄に当たるとか。タクシン元首相はタクシン・チナワットでしたからね。
チナワット一族系企業の社長や会長を務め、政界の経験はほとんど無しで、兄の後ろ盾でいきなり首相になってしまったインラック女史ですから、心配する国民も多いようですが。(まさかタクシン氏が院政をやるのではないでしょうね)
チナワット家の歴史は、客家系の華僑である丘春盛氏から始まります。1860年ごろタイに渡来した広東省出身の客家で、賭博場の税徴人をやって生計を立てていた家系とか。
ただし1910年に徴税の途中に強盗に襲われて身内が死亡したあと、徴税人をやめてしまいます。
そして事業としてビルマから資源を輸入し、タイで加工、再びビルマに輸出するという加工貿易を始めて、それが成功して財を成します。
1921年にタイ国内に鉄道が出来て国内販売も可能になり、それで成功したため王室や官僚などからの人気が出て、タイにすっかり溶け込んだようです。
その後、「丘」という姓からチナワットという姓に変更し、チナワット家が誕生したのが1938年10月17日ということですね。
その後世代も変わって、チナワット家は華僑色を弱めタイ王国に同化の傾向を見せるようになり、官僚を輩出するようになったとか。
そして数名の軍人も輩出し、タクシン・チナワット氏は政治家となって政党・タイ貢献党に入って首相にまで上り詰め、現在があるとのことです。
タイの保守派から見れば、成り上がりの華僑ということになりますが、低所得者層に配慮した政策を基本に据えていることから国民の人気は高く、7月3日の選挙ではその妹インラック氏が率いるタイ貢献党が過半数の議席を獲得出来たのは、保守派の横暴に対する国民(特に低所得者層)の裁断のようにも見えます。
保守派は既得権を持つ側。それゆえに反感を持つ国民も多いもの。国王と王室は別格として、既得権の近代化を進めるべきでしょう。これが国内騒乱の原因でしょうけどね。
チナワット家の元が華僑であることから、今後のタイと中共の関係が気になります。
このところ人民解放軍の南シナ海への侵略によるベトナム、フィリピンとの衝突とか、尖閣列島での日本との衝突事件、太平洋でのアメリカ軍との対峙するための空母の就航などがあり、その傍若無人な振る舞いに世界的に評判を落としつつある中共です。
しかし、経済的には現在東南アジアの経済を牽引しているのが中共であることも確かです。
現在のタイ王国の対中共経済は、輸出過であり貿易は黒字。しかも資源輸出ではなく機械部品などの高付加価値製品が多いようで、中共への輸出量はタイの輸出全体の11%ほどになるようです。
中共経済も次第に行き詰っており、中共経済が冷え込むと、その時のダメージは大きいのではないかと心配されます。
新しい首相は、このような中共との貿易関係をどのように采配するでしょうか?
タイ貢献党の政策は、「最低賃金引上げ、法人税引下げ、農家向けクレジットカード発行、住宅建設や自動車購入促進のための税制措置、堤防、河川整備、鉄道整備などのインフラ開発を行なう」となっています。
まさか王国を共和国にするなどという考えは持っていないでしょうね。
どうやら日本の民主党よりもしっかりした根拠に基づいたマニフェストのようですが、鉄道整備などの協力国が、中共になるのか日本になるのか、新首相の手腕が注目されます。
0 件のコメント:
コメントを投稿