唯一、日本に明るい話題を提供してきたJaxa。その今年最後の快挙となるはずだった金星探査衛星「あかつき」が、金星周回軌道への投入を失敗して、ついに日本の衛星操作技術にも疑問の点が出てきました。
金星近傍での減速を目的とした逆噴射。そこまではうまく行ったのですが、その逆噴射の時間が短くなってしまったこと。地球との交信が途絶える短時間のあと、「あかつき」は周回起動の乗れず金星を離れてしまったとのこと。
本来は最低でも9分20秒以上の逆噴射が必要とのことだったのですが、逆噴射開始の2分23秒後、地球との交信が途絶えたあとに「何か大きな衝撃」が加わり、危険を察知したときの緊急時モードに切り替わって逆噴射を中断したと推測されるそうです。
金星を離れてしまったあかつきは、電力をなぜか大きく消耗し、太陽からの充電体制に入っていたとか。
そして太陽の公転軌道に入り、次に金星の近傍に到達するのは6年後。
その時、まだ衛星の状態が制御可能ならば、再び金星周回軌道の投入にチャレンジ出来るとは言うものの、今回の失敗の原因がどこにあるのかを突き止めていなければ無理。
宇宙航空研究開発機構(Jaxa)の立川敬二理事長も、「軌道投入失敗の直接原因である逆噴射中断がなぜ起こったのかを究明することが最優先」と述べておられます。
そして、「中型のM5ロケットでの打ち上げを前提にコンパクトに設計されたため、システムの二重化などの対策である「冗長性」が最低限しかなかった。」ことも原因かもしれないことから、今後の衛星の設計では「探査機を冗長性も持たせて設計してから、最適なロケットで打ち上げたい」と、設計ポリシーの変更を示唆しています。
一方アメリカでは9日、民間企業のスペースX社が有人宇宙船「ドラゴン」を無人で打ち上げ、地球を2周回って大気圏に再突入、打ち上げから約3時間後に無事メキシコ沖の太平洋に着水したと報じました。
Jaxaは、1998年に打ち上げた火星探査機「のぞみ」でも、火星周回軌道に乗せることに失敗しています。
大成功を収めた「はやぶさ」が行った先は「イトカワ」という小惑星。すなわち重力が微小なところでは成功したということ。
どうやらJaxaの技術は、大きな惑星(すなわち重力が大きい)では減速技術などがまだ不完全なようですね。
はやぶさは地球帰還では減速せずに大気圏で燃え尽きました。アメリカのスペースX社の「ドラゴン」は大気圏再突入を無事こなしていますが、Jaxaはまだ大気圏再突入で回収も、はやぶさのカプセルを回収したくらいで、それほど経験は持っていません。
惑星の重力圏。なにやら計算できない問題もあるのかも知れません。地球とは異なる惑星の周回軌道投入は、まだまだ難しいのかも知れませんね。
先ずは地球帰還の手法を、パラシュートに頼らず逆噴射と滑空で成し遂げる技術を確保したいものです。
Jaxaの今後の健闘に期待しましょう。
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