産経のコラムに矢板明夫氏が、「習路線へかじ切る外交」という論説を書いておられました。
温家宝首相が訪問先のマカオで、朝の体操をしている市民たちといっしょに太極拳に興じた時、マスメディアの前で「またいっしょに太極拳をやりたいですね。私の引退後、みんなで北京に遊びに来てください」と市民たちに声をかけたということから、温首相は権力闘争に負けたのだとする憶測が広がっているそうです。
温首相の任期は2013年3月まであるそうです。即ちまだ任期を約半分も残している時点。
そこでこのような発言を行うのは、「権力闘争に敗れた温首相が意気消沈した裏付けだ」と取られても仕方ないでしょう。
温首相は、「政治改革を断行しなければ、中国は経済改革を通じて達成した実績を失うとともに、近代化という目標を実現できない恐れがある」という考え方を打ち出しています。
しかしこれが中共の既得権集団、すなわち保守層の反発を買い、保守派の重鎮・劉雲山(りゅううんざん)氏(63)から「政治体制改革が大変遅れているという見方は、客観的な事実に符合しない」と切り替えされ、「正しい方向で積極的かつ穏便的に政治改革を進めよう」という発言がなされました。
このような時、米国の台湾に対する武器輸出問題や、南シナ海の領有権問題をめぐる東南アジア諸国との関係悪化、日本との尖閣(せんかく)諸島を巡る対立、さらに中国の民主化活動家劉暁波(りゅうぎょうは)氏(54)のノーベル平和賞受賞問題が発生して、中共の外交が危機に直面、この外交の失政は「温家宝首相の“弱腰”外交の付け」だと位置づける声が高まってしまいました。
そして11月23日に発生した北朝鮮による韓国・延坪(ヨンピョン)島砲撃事件では、その対策を胡錦濤国家主席、習近平副主席、戴秉国(いたへいこく)国務委員(69)の3人で相談して決めたと言われており、温首相はラインからはずされているとのこと。
そしてこの間、習近平氏は中央軍事委員会副主席に就任し、中朝関係を重視し、そして積極的に外国を訪問、シンガポール、南アフリカ、アンゴラなどアジア、アフリカ諸国を歴訪して2011年から始まる中国の第12次5カ年計画を説明し、貿易、エネルギー分野での協力文章を調印しています。アンゴラでは両国の「戦略的パートナーシップ」締結についても合意しました。習氏はこれまでのような表敬訪問ではなく、具体的な事案について交渉する訪問を行い、このような実績を上げたのです。
そして一貫して、中国の人権問題や民主化問題に影響力を加えようとする欧米を批判し、アジア、アフリカの途上国、資源国との関係を重視する発言を繰り返しています。
しかし、このような習近平氏の活躍は、どうみても中共内部の保守層を意識した動きのようにしか見えないのですけど。
もと「民主中国」の編集長で法政大学で講師を務める「楊中美(ようちゅうび)氏」は、このような習近平氏に現在の中共をまとめることは出来ないと論破します。
その原因としていくつかの要因を挙げておられますが、最も刺激的なのが「人民解放軍の民主活動勢力側への寝返り」というものでした。
中共の保守層とは、歴史を重視する保守などではなく、単に改革開放政策を利用して巨万の富を築いた富豪集団。
いまや既得権の圧力団体として共産党を利用しているというのが、その実態のようですね。
すなわち沿岸部の富裕層。そして富裕層の子供達は決して人民解放軍などには入らないそうで、この軍の若者はほとんどが内陸部の若者達。家族に身売りする者もいるような貧しい層の出身が多いそうです。
楊中美氏は日本の2.26事件を例に挙げて、「このような環境の中でトップ層の腐敗を知れば、クーデターという強行手段に訴えようという思いも自然と湧き上がってくるだろう」という意味のことを述べておられます。
沖縄で活発化する中共資本の土地の買いあさり。そして新潟で起こっている領事館と中華街の市有地買取問題。文字通りの売国を行うかどうかは我が国国民の判断であるとしても、このような形で賄賂と謀略を使った外国侵略を画策する政府が「良い政府」であるわけがありません。
無政府状態の日本で活躍する「頑張れ日本・運動」も、もしこのような人民解放軍の寝返りが考えられる状況であるならば、そういう人民解放軍にエールを送るというのも中共解体を早めることにつながっていくのではないでしょうか?(日本解体阻止から中共解体促進へ!)
民主化した後の中国、再び日本とは対立するのかも知れませんけどね。
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