2016年11月25日金曜日

北方領土の戦略的位置付け

ロシアにとって経済的には重荷の北方領土であっても、安全保障上から見れば重要な位置にあることは確かです。
ですから共同回月で日本にも金を出せと言ってくるのは当然でしょうね。

中共が日本海→オホーツク海→北極海を経て大西洋に抜ける北極海航路への進出を強めている昨今です。ロシアから見れば北極海は原潜の戦略拠点として今までロシアの重要な戦略拠点だったところです。そこに中共が入ってきたらたまったものではありません。ですから北方四島は日本に変換した場合、安全保障はどうなるのかが問題になることは確かです。

現在、「再びロシアの食い逃げ論」が出始めていますが、ロシアにとっても日本にとっても、中共の国際法を無視する侵略意図には対抗しなければなりません。
しかし、日本には軍備を持たせない憲法と、軍隊としては動けない自衛隊しかないのです。これではロシアが返したくても返せない北方領土言われても仕方ありません。

ロシアにとって日本国憲法などどうでもいいことです。ただ北方四島とロシアの安全保障に対してあまりにも無責任な日本の論調に怒りすら感じているように思います。
おそらく12月15日の山口県会談でも、このことが最大のテーマとなるでしょう。もしかしたら「日本国憲法が改定され、日露間で北方海域の安全保障が確認されたら領土返還の交渉に応じるかもしれない」などという約束がなされるかも知れませんね。

そんな想像が出来るような、日露両政府が海上自衛隊と露海軍の連携強化に向け動き出した・・という情報が出てきました。
名目は「捜索・救難共同訓練」というもので、ウクライナ問題で中断していたものですが、その再開は、明らかに強化されだした中共の海洋進出に対する対抗策として行われるものでしょう。

地球温暖化が原因かどうかは判りませんが、北極圏では海氷減少が進み、航路開発や北極圏に眠る石油など埋蔵資源の権益をめぐる動きも活発化しています。
中共は2012年から砕氷船「雪龍」を北極海に投入し、昨年9月には海軍艦艇5隻が、北極海の玄関口となる米アラスカ州沖のベーリング海を初めて航行したそうです。

現在、日中間の衝突を遠い極東の出来事と見て、中共の軍拡に武器の売り込みを考えている欧州各国は、それが北極海経由で自分たちのすぐそばであることに速く気付くべきです。
ベーリング海峡を抜けて北極海を抜ければすぐに欧州になるわけですし、核ミサイルの配備を変えられたら英国あたりまでは射程内に入るのではないでしょうか。

ますます軍事的になる習政権ですが、そこに「追い詰められた国際金融資本」が中共を使って戦争を起こし、破壊によって自分たちの金融危機を打開するような工作をしているかも知れません。この手をこれまで何度も使ってきたわけですからね。
経済が破綻している中共が、軍拡だけには潤沢な資金を使えるのも、習政権の裏に国際金融資本が隠れているのかも知れません。急速な軍事技術の発展は、その資金による技術の横流しがあったとしてもおかしくはないでしょう。

ですから今回の北方領土返還交渉は、日本の北の守りを固める意味があることが、これまでの単純な返還交渉とは異なるわけです。

サヨク・マスコミがどのような書き方をするかは判りませんが、自衛隊の法律が公務員である限り、日本には軍隊はないわけです。どんなに強力な武器や兵器を持とうとも、日本に優秀な自衛官が居たとしても軍隊はないのです。(これは中共が一番よく知っているところです)
それはつまり、安全保障に関してはまったくアメリカ依存であって、ロシアにとっては領土返還に応じることは不可能ということになります。
対中共戦略で、まさかロシアが安全保障をアメリカにお願いすることは出来ないのですよ。

日本のマスコミだけを見ていますと、「ロシアは返還しない北方領土に(軍事基地を)共同開発しよう」と言っているように書かれます。
安全保障に疎い日本国民は、「何をロシアは都合のいいことを言っているのか」という論調になりますが、現実に日本の安全保障を考えれば、「南の沖縄はアメリカ軍が居るが北にもロシア軍が居る体制」を作った方が得策かも知れません。

日本国民は冷戦時代も今も同じように北方領土を考えているようですが、時々刻々と世界情勢は変わっています。
もはや北方領土は、対中戦略拠点として日露の共同防衛線が必要な時代になっていると言うことです。

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