2016年8月3日水曜日

あの都知事選を振り返って・・・

小池百合子氏の圧勝で終わった都知事選ですが、振り返ってみると面白いことが感じられます。
小池氏の背中を押した石原慎太郎氏は、前回の知事選挙だったことが小池氏の演説から判ります。では今回の選挙戦は、本当に小池氏自身の判断だったのでしょうか?

選挙中は「もう帰るところはありません」とか「たった一人の戦いです」とか「目指す場所はあの都庁ビルです」などと述べておりましたが、小池百合子氏は今回は誰にも背中を押されていなかったのでしょうか。

選挙の結果は投票締め切りとほぼ同時に出されました。東京都連の石原伸晃会長は、その結果が出るとすぐに「敗北宣言」をして姿をくらまします。
自民党内部ではすぐに石原氏に対する責任問題がささやかれ始めます。ついに石原氏は都連会長を辞任してしまいました。これで幕引きとなり衆議院議員に戻るだけです。

都知事選の選挙演説最終日の7月30日、安倍首相がおおさか維新の会の橋下徹前代表と会談しております。橋下氏は都知事選にさまざまなコメントを送っており、特に鳥越氏への批判は強烈でした。「知事の資格などない」とまで言っていたわけですからね。

産経には「首相は秋の臨時国会での憲法改正の議論の行方が注目されるだけに、その必要性を唱えるおおさか維新との連携について意見を交わしたとみられる。」と書かれております。
小池氏の応援演説に駆けつけた減税日本の「河村たかし現名古屋市長」には、減税日本を解党しておおさか維新と合流する話も出ているようです。

4年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックは莫大なお金が動きます。その費用を少しでも低く抑えるには、複雑な利権システムを壊さなければなりません。
小池氏が選挙戦の最初に出した「東京のドン」、そしてその人の名前が都連幹事長である「内田茂氏」であることを述べた猪瀬氏の文章。このままではオリンピックに掛かる費用が内田氏を通さないと動かなくなってしまう問題が東京都にあったようです。

東京都をはじめ地方自治の利権主義は悍ましい限りです。なにしろ都関連施設の中にある自販機はすべてどこかの議員の利権になっていると言うのですからね。
都職員がそれを許しているのは、何もしない議員の方が職員にとっては扱いやすいからのようです。

そんな中、内田氏の実力はかなりすごいようです。行政に付き物のダーティな仕事、例えば都の道路工事で起きた事故の後始末など、モンスタークレーマーの処置や暴力団がらみの事件に発展した都関連工事の失敗など、そんな時に内田氏は力を発揮していたのではないでしょうか。
「内田氏がいれば都議会議員は手を汚さなくて済む」などの議員の安心感が内田氏をドンにしていったのでは無いかと思います。
しかし、そこにオリンピックがやってくるわけです。多くの利権が絡む時、一人の男に牛耳られる都政では困るわけです。

小池氏はかつて防衛庁の天皇と言われた「守屋武昌氏」を退官させた実績があります。
守屋氏を辞めさせる時に、「夜に二度、携帯電話に電話したが出ず、折り返し電話があったのが翌日朝であり、危機管理上どうなのか」などと述べております。(公の場での因縁付けですね)
この時は小池防衛大臣と両成敗という形で安倍首相が守屋氏の退官を発表し、同時に小池防衛大臣も辞任しています。
今度はどのような方法で内田氏に迫るのでしょうか。

圧勝した小池氏に自民党は譲歩しそうです。「敵対は得策ではない」と言うことで安倍首相は「自民党にとって(この都知事選は)残念な結果になった」とした上で、「4年後の東京五輪・パラリンピック成功のため、今回示された民意をかみしめながら都民と力を合わせて取り組んでいきたい」と述べ、小池氏との連携を示唆しました。
麻生財務相は「割れたらこうなるとのいい教訓だったと思えてならない」などと述べ、また菅官房長官は「都連の執行部は辞任すべき」と述べましたが、これは石原伸晃氏も内田茂氏も含んでいるのでしょうか?
内田氏はまだ辞任しておりません。

都知事となった小池百合子氏は、これまでの選挙中とは変わって軟化しております。「知事も議員もそれぞれ都民が選んだ代表なので、都民の利益のために議会の皆様にはご協力をお願いする。都政が停滞しない工夫を共にしないといけない」などと語っています。
ただ、「選挙中に訴えていた都政の透明化に向けて、組織を立ち上げ、情報公開、お金の話について集中して審議し、答えを出す」と述べ、「内部告発も含めて情報が届く受け皿作りを進めていく」として、その具体的な内容については「これから詰めていきたい」と述べました。

絶大な力を保持しながらも党内基盤が弱い安倍政権と、自民党を蹴飛ばして東京都知事に収まった小池百合子氏ですが、このような一連の推移を見ていますと、もともとこうなるように仕組んだのではないかという感じがするのです。
小池氏のあいさつ回りの時、自民の幹事長と政調会長は不在だったとか・・・
記者会見では、自分自身を本部長とする「都政改革本部」を創設し、改革のアジェンダ、テーマによって個別の調査チームを必要であれば設けるようにするそうです。その最初の物が「利権追及チーム」の設置と言うことですね。

政治ですから一歩一歩実行しては周りの動きを注視し、そしてまた次の行動を実施していくわけで、これを繰り返します。そして最初に設定した「最大の目標」に向けて近づいていくわけですが、その目標が安倍政権では「憲法改正」にあることは変わっておりません。民主政治は構造主義ではないのです。
現行の日本国憲法はその改正または撤廃をむしろアメリカも望むように変わってきています。もちろんその背景にはアウトロー国家・中共が行っている犯罪の取り締まり強化があるわけですが・・・

小池氏の都知事就任は、そういう意味でこの「都政の見える化」という目標に向かった試みです。
これは脱構造主義を使った政界再編を助長する働きがあるような、そんな感じがします。つまり小池氏の背中を暗に押したのは、脱構造主義で憲法改正に挑む安倍首相ではなかったのかと・・・

0 件のコメント:

コメントを投稿