2016年2月12日金曜日

消費は戻らない、ではどうする?

ついにマイナス金利が出現してきました。スイスから始まったこの流れが、日銀に及んで来たわけです。
なぜマイナス金利などと言うものが生まれたのか、そのメカニズムは次のようなものです。

都市銀行は、日本銀行に当座預金口座を開設しております。日銀は「円」をその口座に振りこみ、銀行はそれを企業などのお金の需要先に貸し付けます。
経済が順調であれば、お金の需要は多く、銀行は国民から預金を受け入れ資金需要が日銀からの借り入れよりも多くなっても大丈夫なようにしていきます。

ところが、国家経済がデフレとなりますと資金需要が減少してしまいます。そうなると貸出金利が低くなってきます。
従来であれば、金利が下がれば借り換えなどが起きて再び経済が活性化するのですが、いったんバブル景気で資金が出回り、バブルが崩壊すると出回った資金が国民の借金として残ってしまいます。消費は落ち込み、景気は低迷します。この状態が20年以上も放置されてきたのが日本でした。

そこに中共などからの安い商品が流れ込み、国民はそれによって生活必需品はおおかた間に合ってしまったわけです。
そこに高齢化が追い打ちを掛けました。日本の生産性は落ち込み、消費の低迷が続いたわけです。
つまり日本経済は順調ではなくなったのです。しかしこのデフレ現象はまだ放置されたままです。むしろリーマンショックなどで世界中がこの日本の陥ったデフレの罠に嵌ってきました。

日銀の黒田総裁は、異次元緩和と称して資金を銀行に流しました。金利が限りなくゼロに近づき、本来であれば景気は回復するはずでした。しかし本質的な資金需要が出ませんでした。お金は市中には流れなかったのです。
中流以上の家庭には中共で作られた安い家電などで溢れ、若者は低賃金、生活にやっとで購買力がありません。長いデフレで日本経済は復元力を失ってしまったわけです。
そこに財務省の、省益のみを考えた消費増税が追い打ちを掛けました。瀕死の日本経済に、消費税という猛毒の注射をしたようなものです。日本経済がどうなろうと「財務省の権限が強くなればいい」という癌細胞のような発想でした。

黒田総裁は、この財務省に対して「国債の買い上げ」という禁じ手を打ち、日本政府に財務省以外の資金調達回路を作ったのです。安倍政権はそれを利用して公共投資に踏み切りました。それがアベノミクスでした。しかし長期のデフレはその資金を受け入れる民間の活力をも奪っていたのです。

この公共投資は、土木建築に一時的な好況をもたらしましたが、オリンピック以降の長期展望が見えず、技術者の育成や、社員増強、賃金アップまでには至りませんでした。
将来不安を抱えた国民は預金金利が低迷しても銀行預金や国債などの安全な蓄財を続け、一向に市中にお金が出てきません。つまりデフレ脱却が出来ないわけです。

そして最近、黒田総裁はもっと都市銀行に圧力を掛けようと、当座にマイナス金利(手数料課金)を掛けたのです。都市銀行の当座口座にはこれまで若干の金利が付いていました。それを無くしたわけです。
利益が出なくなってしまった都市銀行、しかし資金需要のない民間には貸し出せません。そこで国債の買い付けに走ります。日銀に買われて少なくなってしまった国債を市場から調達し始めます。

国債にもわずかですが金利が支払われています。それを狙った買付ですが、その結果国債価格が上がり、金利以上の価格となってしまったわけです。つまり国債もマイナス金利になってしまったのです。こうなってくると次に始まるのは、一般国民の銀行預金に対するマイナス金利で、もう一部で始まっているようです。
それでも資金需要が出ません。つまり消費が伸びず、したがって企業も生産が出来ない状態が続いております。
そしてこれが日本だけでなく世界的現象になってきたことは、中共の過剰設備による経済崩壊を見ても明らかです。

はっきりしていることは、もう消費は伸びないだろうと言うことです。そうすると貧富の格差が次第に広がり国民国家が崩壊する危機ともなりかねません。

そこで観点を、「いかにして銀行からお金を市中に流すか・・」という命題に変えてみます。消費は伸びない、しかし「国民に銀行からお金を卸して買い物をさせる」にはどうするか、ということです。

これまで耐久消費財の購入が日本経済を支えてきました。しかしこの耐久消費財が売れなくなったのだと思います。耐久消費財に安い外国製品が入ってきたことも原因の一つです。
そこで、耐久消費財を止めて、資産財に切り替えたらどうでしょうか。不動産や株・証券、貴金属や宝石などが資産として計上されます。耐久消費財は減価償却をします。資産財とは減価償却しない製品のことです。現在は資産財と言う言葉はありません。税法上無いからです。

預金がマイナス金利となれば、それを卸して資産財を買うだろうと言うことです。買った後値上がりするかもしれませんし、そうでなくとも永久に保持出来るものとして販売され、換金できる市場があるものが資産財です。

これはユダヤ資金が最初に仕掛けた蓄財方法です。絵画や彫刻、そして歴史的な逸品などです。価格は常にオークション(市場)で決められますから、換金も流通もしているわけです。
維持管理にお金がかかりますが、その分を取り戻すことも出来るオークション価格なのです。資産は土地や株、貴金属だけではないこと、低価格でも購入価格より高く売れる可能性を作り上げていくのです。そしてお金が流れるようにしていくのです。
インターネットを使ったオークションは若い世代からもう始まってきましたね。これをもっと活性化していくのです。企業がバックアップして・・・

まだ資産財にはなりませんが、例えば「精工舎」などの取り組みはそれに近いのではないでしょうか。
http://www.seiko-watch.co.jp/gs/about/movie.php

お金は流れていないと壊死します。現在の金融は内部で局所的に流れているだけで、お金の機能が果たされていません。
その原因は、耐久消費財という考え方が、もう機能しない時代になったのだ・・と言うことではないでしょうか?

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