2015年1月23日金曜日

人質殺害予告は人道支援が刺激したのか

民主党の徳永エリ参院議員が、「イスラム国」による日本人殺害脅迫事件は、安倍首相が難民救済のための人道支援を発表したから起きたとフェイスブックで訴えました。
「いくら人道支援とはいえ、資金援助を大々的に記者会見でアピールする、テロ組織を刺激したことは否めないと私は思います」と言うわけです。

同じように、政治アナリストの片桐勇治氏もチャンネル桜の番組の中で「今後日本がこのような事態に対して責任が取れるのかどうか・・フランスなどでイスラムの問題が起きてヒートアップしていて、一触触発の可能性もあるところに、イスラム国対策として中東にお金を配ることには、もう少し慎重になるべきだ」などと述べていました。

片桐氏は、「ひつじ年には中東で戦争が起きることが多い。12年前にはイラク戦争になったし、その12年前にはクエート侵攻が始まっています。」と述べていました。
羊飼いとの戦いはひつじ年なのでしょうか・・・

ともかく安倍首相の「積極的平和主義」が行き過ぎると失敗しかねないとの批判のようですが、安倍首相のイスラム国対策として支払われるお金が、イスラム国にとって何らかのインパクトがあるから殺害予告となったのではないでしょうか。
少なくとも、石油価格の下落が経済的にイスラム国を追い詰めていることも確かなようですから。

昨日も書いたように、安倍首相の行っている人道支援のお金は、安倍政権というよりも明治以降の日本の国策であります。
民族自立を目指す資金援助は、すでに長い間日本は行ってきました。戦争という事態になって中断することもありましたが、経済復興を果たしてから再開し、常に途上国援助を「ODA」という形で行っています。
今回も人道支援やインフラ整備など非軍事分野への支援で、金額は約3000億円です。また、イスラム国対策に240億円の支援をイラクやレバノンに行うとしたものです。

この金を巡り、イスラム国が反応したもので、「それをこっちに渡せ。さもないとこの2人を殺す」という恐喝をしてきたわけですね。

イスラム国は国ではなく一種のペシミズム(悲観主義、厭世主義)で構成された組織です。ですからマイナス思考の組織と考えればいいのではないでしょうか。
「現生ではだめだから来生で良くなろう」とでもいう集団ですから、「死」が前提の集団のようです。「アルカイダでもダメだった」ということから、このような感覚が生まれ、それが組織のように広がり、ただ他国を攻撃して殺し殺され、殺されても「殉教」ということで、来世では幸福になっていると考え、幸福感を感じるわけです。人質を殺すことも躊躇はないでしょう。オウム真理教で言うところの「ポア」に相当するわけですね。

この日本人2名は早くから身代金の要求があったそうです。今回の安倍首相の支援を見て、この方が金を出すかもしれないと思ったのでしょう。

アメリカではテロ集団に対する身代金の支払いを認めていません。
テロ組織への身代金支払いによって活動資金を提供することは、「米国人をさらに大きな危険にさらすだけ」(アーネスト大統領報道官)の結果に終わるとの考えです。

イスラム国により斬首殺害された米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリー氏=当時(40)=の家族はイスラム国から約1億3250万ドル(約156億円)を要求され、資金集めを始めたそうですが、アメリカ政府から中止するよう命じられたそうです。
フォーリー氏の母親は息子の殺害後、米メディアに怒りをぶちまけたそうですが、あと2名のアメリカ人も身代金の支払いを拒んだことで殺されました。

アメリカ軍は人質奪還に「捕虜交換」や「特殊部隊による奪還作戦」を使っています。成功例もありますが、しかし成功する可能性は低いようです。

片桐氏は、安倍首相に対し、このような人質奪還の手段構築(可能性が低いとしても)が出来ていないで「強気の人道支援」などするべきではないと言っているのでしょうか。

イスラム国はインターネット・YouTubeを通じてこのような処刑の映像を送ってきます。日本のユーザーがこの映像のパロディを作ったり、ツイッターに抗議を書き込んだりしたところ、どうもそれに対してイスラム国側からの応答もあって、現在ネット上でバトルが繰り広げられているとか。

「日本人よ・・ずいぶんと楽観的なようだな。離れた安全な場所にいると思っているからか」などの書き込みがなされ、日本の専門家は「人質の命がかかっている中、相手を揶揄(やゆ)するような安易な投稿は思わぬ事態を招きかねない」と警告しているようです。

インターネットは誰でも双方向で発信ができるメディア・システムです。
ですからテロ時代にはこのように直接敵側と論争も出来ます。だったらいたづらに挑発するのではなく、日本の援助がどういうものか、欧米とは異なる哲学が背景にあることを知らせるようにしたらどうでしょうか。

このブログでも、そのような発信をしていきたいと思っています。(イスラム国が見てくれるとは思いませんけど・・・)

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