2015年1月21日水曜日

タイの高速鉄道、中共との競争

日本が莫大な投資をしているタイ。皇室外交もあって親日的と言われるタイですが、そこに中共が入り込み、高速鉄道の売り込みで日本が負けてしまったようです。

先月、バンコクで開かれたタイ・中共首脳会談でタイ政府は中共と南北縦断鉄道の建設計画で合意したとのニュースが流れてきました。
ラオス国境のノンカイ(タイ側)からバンコクの南東でタイ湾に面するマプタプット港までをつなぐ路線(734キロ)の鉄道計画です。
さらに中共は、昆明とラオスのビエンチャンを結ぶ高速鉄道建設計画を進めており、ビエンチャンとタイのノンカイは目と鼻の先になるそうです。

中共は、こうして東南アジア全体の鉄道網計画をもって売り込みをかけています。しかし日本はその技術の優秀さとか、メンテナンス性、そして運用手法などといった切り口で売り込みを掛けているように感じます。

日本の外交筋は「ノンカイのような誰もいない所に鉄道を作っても意味がない。それに日本が関心を持っているのは高速鉄道だ。他の場所でいくつも日本に作ってほしいという要望がタイ側から来ている」などと述べているそうですが、これは戦略としてまずいのではないでしょうか。

安倍晋三首相とタイのプラユット暫定首相が間もなく行われます。プラユット暫定首相が来日するからです。
ここで高速鉄道の話が出てくるでしょうが、タイはしたたかな国ですから、おそらく中共と日本を手玉に取って自国に有利に導こうとするでしょう。
その場合、鉄道網構築の戦略、すなわち全アジアを俯瞰した鉄道網構築の構想がなければ、中共に負け続けてしまいます。

東南アジアには多くの国があります。各国と友好関係を築くのはいいでしょう。しかし鉄道網のような近代化の基礎になるものは、もっと戦略的に持っていくようにしなければならないはずです。
この鉄道網構想には、インドも含まれ、さらに東ヨーロッパやロシアも関係してくるはずです。中共もそのことは良くご存じです。

さらに、このような戦略が日本側に無いことも中共は知っているはずです。ですから強く各国に働きかけ、着工と言う形で先行し始めることでしょう。
東南アジアの鉄道網が中共に取られれば、そこからインド、東ヨーロッパ、そしてロシアにもその鉄道網を拡張していくのは間違いありません。
それが中華思想の世界戦略となっているであろうことも認識すべきです。

それでは日本はどのような戦略構想を立てるべきでしょうか・・・

まだテスト路線しかありませんが、超電導リニア新幹線を切り札に持ってくるしかないでしょう。将来にはこれを宗谷岬から九州を通過させ、沖縄から石垣島まで通す計画であることを発表します。海上はトンネルを通すと言うことにします。

リニア新幹線はもともとトンネルの中を飛行する飛行機ですから、海底トンネルでもメンテナンス可能なように構築すればいいのです。
すぐにでも九州・沖縄間の海底地質調査費用を予算化します。それからさらに未来にはリニア新幹線を台湾を経由し、フィリピン、インドネシア、そしてマレーシアからタイ、ミャンマーそしてバングラデシュ経由でインドまでを結びましょう・・と呼びかけます。

リニア新幹線を海底トンネルで走らせられるか、それは九州から沖縄まで敷設できるかどうかにかかってきます。それが可能であれば、石垣島までの延長もお金の問題だけになります。石垣島まで行けるならば、台湾まで行けることは疑いようがありません。

そのための海底調査なら今からすぐに始められます。
そして、この調査は東シナ海につながる調査ですから、中共への牽制にもなるはずです。しかし九州と沖縄間という日本国内の調査ですから文句は言えないでしょう。

このように日本の技術開発がさらに進んでいくことをアピールしながら、東南アジア各国に鉄道網の充実を訴え続けるという作戦はいかがでしょうか。常にリアリティを全面に出しながら・・・

また、中共の約束は毒を含んでいることも、暗に知らせるべきではないでしょうか。
ニカラグアで着手した中華系企業による運河建設ですが、資金面などで巨大プロジェクトの実現を危ぶむ声が出始めています。
ニカラグアは台湾を承認し、中共を認めていない国家です。そのためにこの計画は香港の企業を使って進めているとか。しかしその費用は莫大で、大手米銀の関係者は「これほど巨額の資金となると投資銀行や国際金融機関から調達する必要があるが、苦労するのではないか」と冷ややかに見ているそうです。

このように中共の信用はまだあまりないようです。また、アメリカは直ちに現パナマ運河の拡張工事に乗り出しました。中共の「第二運河」を成功させないようにする計画のようです。

東南アジアの鉄道網・・・日本も早く手を打たないとせっかくの親日国を失いかねませんよ・・・

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