2012年11月10日土曜日

始まった中共の第18回党大会


アメリカ大統領選挙が終了した翌日、今度は中共で始まった第18回党大会。
死んだはずの江沢民前国家主席が、胡錦濤主席と並んでひな壇の中央に着席して、その存在をアピールしておりました。
上海閥の後押しで習近平氏が新たな主席に着くことは明らかで、そのためのデモンストレーションなのでしょう。しかし胡錦濤側も共産主義青年団から要職に抜擢して、その栄kょう力を保持しようと躍起です。

共産主義青年団の胡錦濤、上海閥の江沢民、太子党(高級幹部子弟)の習近平、この3派が入り乱れる権力闘争は、党大会を経ても止まりそうにありません。

トウ小平氏から始まった中共の経済発展は、1993年に江沢民氏に受け継がれました。
江沢民氏は、日本の特務機関に協力していた父と、中国共産党の幹部であった叔父に育てられ、自身は共産党に入党したのですから、その出自でさまざまな苦労を重ねてきたのでしょう。そのために極端な反日政治家となり、来日したときも天皇陛下の前で日本批判を行ったりしております。

この江沢民氏が主席を勤めている間に、中共の汚職体質は拡大し、手が付けられない状態までになったとか。
江沢民氏のあとを受け継いだ胡錦濤氏は、この汚職一掃に取り組んだようですが、主席の意志とは反対に、さらに深刻な汚職国家となってしまいました。

今回の大会でも、胡錦濤氏は「この問(汚職一掃)がうまく解決できなければ、党を致命的に傷つけ、ひいては党も国家も亡びてしまうことになる」などと演説しております。

この党大会の前に失脚した上海閥につながる薄煕来(ハクキライ)前重慶市党書記などは、法輪功で捕まえた信者を臓器売買のドナーとして使用し、莫大な利益を上げていたことが、カナダの人権団体などの調査で判ってきております。
人を人とも思わないこのようなおぞましい汚職も、中共ならではのものでしょう。チベットやウイグルでも、独立運動の抑圧で捕まえた人間を、臓器摘出して殺していることなどは、日本でもかなり知っている方々が増えてきております。

華人のこのような振る舞いは、つまるところ宗教観の欠如から来るものでしょう。
この党大会でも、胡錦濤主席は「『科学的発展観』を貫徹、徹底することによる『調和のとれた社会』建設の重要性」をしきりに述べていたそうです。
華人にとって、「科学的」という言葉が「宗教観」の欠落の穴埋めをしているようです。しかし、科学で人間の宗教観を肩代わりすることは不可能です。
「科学的」が近代化と考えていること自体、救いの無い中共の未来を感じさせます。

「宗教観」が欠落していることが「拝金主義」を生み、その拝金主義が汚職の根底にあることが、理解されているのでしょうか?

「裸官」と呼ばれる外国逃亡者。莫大なお金を外国の銀行に持ち出し、子供などをその国の学校に留学させ、自分もやがてそちらに住もうとする官僚や政治家のことですが、ようするに中共から脱出しようとする富裕層のことです。
チャンスがあれば荒稼ぎをして、そのお金を持って外国に逃避し、余生を過ごすという考え方を「良い」とする発想。
子供は外国で教育して、自国はどうなってもいいようですね。しかし中華へのノスタルジー的な愛国心はあるようですけど。
所得倍増計画を打ち出し、日本の1960年代のようにして消費社会を実現する計画だそうですが、公共という概念が欠落している(即ち宗教観が無い)社会でうまくいくのでしょうか?

公共という概念の欠落こそ今、中共の一番の問題点ではないでしょうか?
圧倒的に多い非富裕層が、汚職のことを非難しますが、彼らとてチャンスがあれば同じように荒稼ぎして、外国に資産を移して同じようにしたいのでは?
「中共を出て行きたい。この国に未来はない。しかしお金が無いからそれが出来ない」という思いでは、国家の発展を支えることは出来ません。

第18回党大会で、どのように中共の発展を誇示しても、国民の中にこのような生き方に憧れがある以上、国家としての未来は無いように思いますけど・・・

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