2011年9月3日土曜日

中共、中央政府と人民解放軍が分裂か

石平氏の評論で、「中共で中央政府の外交努力が人民解放軍によって潰されている」という文章がありました。

まず、今年1月にアメリカのゲーツ国防長官が北京を訪問したとき、わざわざその時を狙って「殲20」の初飛行を行ったこと。
その結果、当のゲーツ国防長官が大変困惑してしまい、同日行われた胡錦濤・ゲーツ会談もかなり異様な雰囲気になってしまったとか。
このとき、胡錦濤主席は解放軍による試験飛行をまったく知らなかったということですから、これでは会談が異様な雰囲気に包まれることは当然でしょう。

そして先月のバイデン米副大統領の北京滞在中に起きた「米中バスケットボール親善試合の乱闘」です。
中国・人民解放軍所属の中国人選手が、米選手に馬乗りになって殴ったり椅子を投げつけたりして、異常な凶暴ぶりを呈していました。
この時、中国の胡錦濤国家主席・温家宝首相がそろってバイデン米副大統領との会談に臨み、次期最高指導者の習近平副主席はその訪中の全日程にわたって同伴していました。
もともとこの試合、米国との関係強化を図り友好ムードの演出のために行われた試合だったとか。
しかし、中国人選手の異常な乱暴ぶりは、逆に友好ムードの演出を徹底的に壊してしまい、中共政府が恥をかく結果となってしまいました。

石平氏によりますと、解放軍のチームは、規律も統制も普通の民間チームより厳しいということです。しかも中央政府肝煎りの「親善試合」ですから、どこかからの「乱闘をせよ」という命令がなければ、このような乱闘が起きることにはならないということです。
即ち、中国人のスポーツマンシップの欠落などというものではなく、意図された乱暴であるということ。

次期国家主席とされる習近平副主席の晴れ舞台でもあり、その習氏は人民解放軍に近い政治家だったはず。
そこでのこの醜態が、何を意味するものであるか・・「重要なメッセージである」と石氏は次のように述べています。

まず、胡錦濤指導部と解放軍の間で、対米戦略において深刻な亀裂が生じてきているということ、そして次に今の解放軍がすでに党と政府の統制から逸脱して、独自の意思を持って行動しようとしていること、の2点があるそうです。
そしてこれは中共における体制の崩壊が始まったことを表出させたもので、統制の利かない中共・人民解放軍のこれからの暴走は、大変憂慮すべき深刻な事態になる可能性を感じさる・・ということです。

胡錦濤政権が終わり、習近平政権ができるのでしょうが、もはや人民解放軍を抑えることは出来なくなるでしょう。
習政権は人民解放軍の顔色を伺いながら政権を運営するようになり、近代兵器で重装備された人民解放軍がどのような行動に出るかは判らなくなります。
中央政府の言うことを聞かない人民解放軍。もはや外交交渉で取り決められたことなど守ろうともしなくなるでしょう。
軍部独走・・・中共の国産兵器でアメリカ軍と対峙する人民解放軍。

そうなれば戦場が日本周辺になることだけは確かなようですね。
しかし、人民解放軍が中共政府と財界の果てしない汚職構造に向かって銃口を向けるということも、あり得ない話ではなさそうですが・・・

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