2020年1月20日月曜日

香港デモとレバノン・デモ

民主主義化が世界の流れになって来たことで、デモ(デモクラシーの略)が激しく起きています。
もう半年以上になる香港デモ、そしてレバノンのベイルートで始まっているデモも激しさを増しています。

香港デモは、ついに武装闘争に発展し始めたようです。
学生や幼稚園の教員ら10人が、九竜地区のアパートなどでパイプ爆弾を作っていて、そこを香港警察が摘発した事件があったようです。

手製爆弾関連の事件は、これで5件目で収まる様子はありません。
アメリカで武器が購入され、それを香港に運び込んでデモからテロへエスカレートさせようとして、27歳の男が逮捕されました。
また、アメリカから送られた10個郵便物には約510発の銃弾が入っていたそうです。
すでに昨年12月には殺傷能力の高い半自動小銃も使われています。

香港警察は、エキサイトしてきたデモ隊に対して、テーザー銃(TaserGun)の使用を検討しているようです。デーザー銃とは、スタンガンの一種です。電気ショックを与えて相手を動けなくする銃ですが、スタンガンと違って、電極が針になっていて細く柔らかい電線につけられ、その針を発射して遠方の人間に当てて(刺して)電気を流してショックを与える銃です。

アメリカのテーザー社が開発した銃で、発射は空気で行います。つまりエアガンになっているとのこと。
一応「非殺傷兵器」になりますが、強い電流を流して筋肉を硬直させるために当たり所が悪いと死亡することもあるそうです。

この銃は日本では空気銃の扱いとなり、規制対象として販売はされておりません。

香港デモでこのように過激な行動に出ているのは、中共からデモ隊に紛れ込んだ人物が暴力を振るい、対抗する警察も暴力的になってきたところから激しくなりました。(マッチポンプに乗せられているのかも?)

エキサイトしてきたのは警察がデモに参加していた学生を殺し始めたからです。香港の警察ではなく中共から入り込んだ警察の服装をした工作部隊でしょう。
こうしてデモが過激になって行きました。もう収拾はつかないと思います。

一方レバノンで行われているデモは反政府デモです。首都ベイルートからその他の都市にも伝搬し、サード・ハリリ首相が辞意を表明するところまで行きました。

このレバノンという国は1990年まで続いた内戦以来、国を支配している宗派主義の政治家の腐敗が進んでいます。
輸出がほとんど無く、輸入に多くを頼っていて、非効率性、浪費、汚職が原因で債務負担は世界最悪のレベルであるとか。
国内総生産(GDP)が550億ドルなのに対し、国家債務はその約150%の850億ドルに達していると言うことです。

これまで海外移住者からの国内送金により輸入代金や財政赤字の穴埋めを続けてきたと言う国家。おそらく日産のゴーン氏も海外移住者として送金してきたのではないでしょうか。
財政支出の大半は、債務返済と肥大化した官公庁の経費によって吸い取られていて、インフラはお粗末で、毎日のように停電が起こり、国有の携帯電話事業者は料金が高いそうです。

35歳未満の失業率は37%。何年も前から赤字抑制のための改革が叫ばれているが、政府は手をこまねいているだけだそうです。
政治エリート層が商売と政治を結ぶ恩顧主義の網を通じ、国家資源を使って私腹を肥やしているという腐敗政治に対して、多くのまともな国民の怒りが爆発したのが、このレバノンのデモということです。

民主主義の国家にあっても、この既得権益を打破するのは容易ではありません。そしてこの既得権駅を維持しようとするのが歴代に渡って継承してきたエリートたちです。
社会主義化して一時は壊すことのできるエリートの既得権は、結局社会主義者たちの次の既得権益となり、今度は壊れることなく継承されて行きます。

このエリート主義に対抗するのがポピュリズム(大衆主義)になります。大衆迎合主義とも呼ぶことがあります。
この「迎合」とは代表民主制という方式で、選挙があって、その選挙で票を取るために政治家が大衆に媚を売ることから言われることです。(票乞食とも言いますね)

香港デモやレバノンのデモには、それを扇動する政治家(ポピュリスト)はいないようです。居るのかも知れませんが、まだ表面には出てきていません。
ネットワークを駆使し、判断を多数決で決めたりしています。ネットワークを駆使したポピュリズムには大衆の怒りがそのまま反映されているようにも思います。

もしかしたら、既得権の継承を主眼にしたエリート主義は、もう不可能になっているのかも知れませんね。

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