2017年4月14日金曜日

大国の攻防・シリアと北朝鮮

アメリカ・ティラーソン国務長官とロシア・ラブロフ外相との会談は不調に終わったようです。
シリア攻撃に対しティラーソン長官が「化学兵器使用疑惑についても「50は事例がある」と発言したのに対し、ラブロフ外相は、化学兵器による空爆について「あくまでも客観的調査を要求する」と対応しました。

また、ティラーソン長官が「アサド政権は終焉(しゅうえん)に近づきつつあり、その原因は自身の行動にある」と述べ「秩序だった退陣」が必要だと述べると、ラブロフ外相は「独裁者の交代」がよい結果をもたらした事例はないと、おそらく「フセイン大統領」や「カダフィ大佐」などを例したような答えをしました。

ティラーソン長官が「米露関係の劣化を食い止めなくてはならない」と述べ、早急な対応が必要な2国間の問題解決に向け、専門の作業グループの設置で合意し、ラブロフ外相は、プーチン大統領が「ロシアが履行停止を表明したシリア上空での米露軍機の偶発的衝突を避ける施策を再開する意向」であることを告げたと言うことです。

北朝鮮問題では、北の核問題をめぐる国連安保理決議の順守の必要性で一致しただけで、何の進展もなかったようですね。

シリア・アサド政権が化学兵器を使ったかどうかについて、ラブロフ外相は化学兵器による空爆拠点とされる空軍基地などへの国際調査団の派遣を求めたようですが、国際調査団なるものがどんなものかについては言及しておりません。

一方、血気盛んなトランプ大統領は北朝鮮情勢に関し、単独での軍事行動を辞さない構えを改めて強調する一方、「習近平主席は北朝鮮問題でわれわれを助けたいと考えている」などと中共が北朝鮮への圧力を強化することに期待を示しました。

その理由として、米中首脳会談でトランプ大統領は「貿易問題で満足な合意を得たいのなら、北朝鮮で米国を助けることだ」と伝えたからだそうです。そして習主席とは「非常に親密な絆をつくった。非常に相性が良かった」と述べました。
さらにトランプ大統領は「中共は為替操作国のグランドチャンピオンだ」などと述べていたことを一転させ「中共は為替国でない」として財務省が近く公表する外国為替報告書で中共を為替操作国に指定しないと表明したのです。

これが対中取引であることは明白で、その目的が北朝鮮問題で中共に協力させるためでしょう。しかし習主席がこの取引を守るかどうかは・・・

習主席は12日、トランプ大統領と電話会談し、改めて自重を促しました。そして韓国に武大偉朝鮮半島問題特別代表を派遣し「対話による問題解決」の重要性を強調、米韓の足並みの乱れを誘っているようです。

産経によりますと、中共の北朝鮮政策基本原則は「朝鮮半島の安定」を維持することだそうです。
そして、「朝鮮半島の安全保障のバランスが崩れること」「国境付近の北朝鮮の核施設が危険にさらされること」「大量の北朝鮮難民が押し寄せること」を避けるのが一番重要としております。
つまり自国の為だけの理由で米国の武力行使を到底容認できないことになりますね。

ロシアのプーチン大統領とも来月、北京で開かれる現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の国際フォーラムに出席予定で、習主席はシリアや北朝鮮問題でプーチン大統領と連携を図るつもりのようです。

しかし、習主席は北朝鮮に関与出来ない状態であることは変わっていません。北部戦区を江沢民派に押さえられ、江沢民派が北朝鮮に対して支援をしているからです。ですから北朝鮮の核ミサイルの最初の一撃は北京に向けられるだろうと言うのがもっぱらの噂です。

そして習主席が言う「話し合い」はまったくゴールの見えない(定義されていない)話し合いです。朝鮮戦争が1953年に停戦してから、64年もただダラダラ話し合っています。
アメリカはこの間我慢しながら、中共の北朝鮮説得に期待をしていたのかも知れません。しかしこの間、北朝鮮は核兵器を開発し、しかもアメリカ本土をまもなく攻撃出来るICBMの開発まで完成させようとしています。
それなのに、習主席の言う話し合いの中にはその対策すら入っていません。バックに江沢民派を持つ北朝鮮に「アメリカは我が国への攻撃ミサイルを持っていて、なぜ我が国が対抗ミサイルを持ってはいけないのか」などと言われれば何も言えなくなってしまう習主席なのです。

アメリカははっきりしていて、核施設・ミサイル施設の破壊による除去と、金正恩氏の排除、そして北朝鮮の民主化(見える化)です。「これをテーマに話し合え!」というのが中共、そしてロシアに対する暗黙のメッセージではないでしょうか。出来るわけはありませんけど。

「一帯一路」の国際フォーラムは5月です。それまでにアメリカは行動を起こすでしょうか。韓国の大統領選挙も5月です。
停戦協定は北朝鮮がすでに破棄しています。

北朝鮮のミサイルはまだアメリカへは届きません。せいぜい日本国内です。安倍首相はそのミサイルが日本に着弾することに期待をしているかも知れません。そうなれば国内世論が一気に憲法改正に向かうと思われるからです。被害の責任は国会で森友問題などで審議を停滞させた民進党と共産党にありますからね。

飛来するミサイルが、核ミサイルでも細菌やガスでもなく、通常のミサイルであることを祈ります。

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