2014年10月14日火曜日

IMFの懸念、日本経済

IMFは11日にワシントンで国際通貨金融委員会を開き、日本の財政健全化を注意深く進め、成長を押し上げる構造改革を実行することが必要だと指摘しました。
日本は、消費税増税による落ち込みはあるものの景気は緩やかに回復していると説明しましたが、その実態は惨憺たるものです。

景気の落ち込みはさることながら、製造業、特に自動車が在庫を抱えだしたのです。
自動車業界は、消費財8%アップの影響で景気が落ち込むことを予測し、生産量を下げてきました。しかしそれでも在庫が積みあがるということは、消費増税による景気の悪化が予想をはるかに超える形で押し寄せていることを示します。

どうしても消費増税10%をやりたい財務省は、事実を隠しているのでしょうね。しかし発表される数値はことごとく日本経済の落ち込みが予想を超えていることを示していると言うことです。
そして「それなのになぜ増税するのか」という議論は安倍政権から聞こえてこなくなりました。どこかが圧力を掛けているのかも知れません。

安倍政権が「新自由主義経済」に偏ってきたことは誰の眼からも明らかなようです。
サッチャーの英国から始まった「新自由主義経済」は、それまでの「ケインズ経済」がオイルショック後の低迷から抜け出せないで「スタグフレーション」に陥った経済を立て直すために始まったことです。
しかしその結果は、英国の経済をダメにし、アメリカの経済をダメにし、そして欧州経済(ユーロ)をダメにしました。
そして「財政健全化」とは、この新自由主義の流れで言われる言葉なのです。

「ケインズ経済を使っても抜け出せない不況」というのがあるのでしょうか。それは恐らく「公共投資の額」が少なかっただけだと思います。
為政者も国民も、公共投資の場合はその金額を見てしまいます。過去に類を見ない金額の公共投資を行っても景気は浮揚しなかった。だからケインズ経済学はもはや有効ではない・・・なんて結論を出してしまったのでしょう。
しかし経済規模が大きくなっている以上、過去の金額なんか何の目安にもならないはずです。
公共投資した資金が、国民の底辺層にまで行きわたるまで続けないと、景気回復は不可能です。公共投資したお金が国外に漏れていたり、富裕層の貯蓄に回っている限り、さらなる公共投資を続けないと景気の浮揚など出来るわけはありません。

公共投資をしようにも、「もはや作るべき道も橋もその他の環境も無い」という状況になっても、何かを見つけて投資を続ける必要があるのです。
金額など見てはいけないのです。政府がお金を印刷するか、あるいは国債を刷って中央銀行からお金を引き出すかをしなければ、景気浮揚は無理でしょう。
それはデフレ脱却まで続けなければなりません。安倍首相は、「デフレからは脱却した」などと誰かから嘘を言われているような気がします。

日本にはまだまだ多くの公共投資先があります。ですから「公共投資先が無くなる」という心配などないのです。

京都大学教授で内閣官房参与(防災・減災ニューディール政策担当)の藤井聡氏が書かれた本の中で、
アメリカの哲学者「ジェイン・ジェイコブス」の面白い言葉を引用しておりました。
「一般的に、どこかの文脈で『良い事』と言われていることには必ず裏がある。例えば『倹約』が良いこととすればその裏の『無駄遣い』は悪い事になる。しかし『倹約』を『ケチ』と表現し悪い事とすれば、その裏の『無駄遣い』は『気前の良さ』となり良い事となる。『平和主義』が良いことの場合は『暴力的』は悪くなるが、『平和主義』を『臆病者』と感じれば、『暴力的』は『勇気ある行動』となる。」というものです。

これまで、公共投資を『無駄遣い』と見ていたので公共投資=悪という風潮が生まれましたが、国家が『気前よく金を使う』ことで国民が豊かになれるのであれば公共投資=善となるわけです。

このようにしてお金が国民に行きわたって行くと困る人たちが居ります。富裕層、もしくはリタイアして年金生活を送っている人達です。
特に世界には信じられないほどの富豪がおります。この富豪たち、こら辺が「財政健全化」などと言っているのではないでしょうか。つまり貨幣価値を下げられたら困る人達です。

しかしそれを財政健全化などというのはおかしいですね。勤労者が豊かになること、これが本当の財政健全化のはずです。
物価が10倍になっても、給与も上がれば問題は無いのです。また商売をしていれば物価が上がれば仕入れ価格も販売価格も上がるだけで、差し引き今と変わりはないわけです。貯蓄は10分の一になりますが、破綻してゼロになるより良いはずですよね。

そう思いませんか?

0 件のコメント:

コメントを投稿