2014年10月17日金曜日

人類の危機、エボラ出血熱

西アフリカで現在、4500人近くの死者が出ている「エボラ出血熱」です。
国別に見ると、リベリアで2458人、シエラレオネで1183人、ギニアで843人、ナイジェリアで8人、アメリカで1人ということです。
スペインでも発病者が出て、致死率は70%を超える勢いです。世界保健機関(WHO)のエイルワード事務局長補は12月上旬には5千~1万人になる恐れがあると指摘しました。

この病気はフィロウイルス科エボラウイルス属のウイルスを病原体とする急性ウイルス性感染症で、最初に発病者の出た地域に流れるエボラ川の名を取って命名されたもの。
何種類かのウイルスの中に死亡率50~80%というものがあり、それが蔓延し始めたようです。
感染し発症すると高い発熱や頭痛、筋肉痛などを伴い出血するそうです。でもこうなってから判ったのではすでに多くの人が接触感染しているはずですね。

この最初の発病者は1976年6月に南スーダンのヌザラで発見されました。
倉庫番の男が突然39度の高熱を出して入院、その後消化器や鼻から激しく出血して死亡したのです。そしてそのあと、周辺に居た284人に感染し、151人も死亡すると言う惨事になったのです。

1995年に公開された「アウトブレイク」という映画は、このエボラに類似したウィルスに立ち向かう人々を描いたパニック・サスペンス大作でしたが、今回の流行はこのパニック映画を上回るかも知れませんね。

患者の血液、分泌物、排泄物や唾液などの飛沫が感染源となるエボラ出血熱ですが、今のところ空気感染はしていないようです。しかし感染力は強く、死亡した患者の会葬の際に、遺体に触れて感染するケースもあるとか。
今回も現地で治療に当たった医師、看護師なども接触感染をしたらしく、その感染力の強靭さが感じられます。何しろ防護服を着ていても感染したと言うのですからね。

このエボラ出血熱が確認されたのは1976年ですが、この病気自体はアフリカのある地域に昔からあった熱病だったはずです。
オオコウモリ科のウマヅラコウモリ、フランケオナシケンショウコウモリ、コクビワフルーツコウモリ等が、エボラウイルスの自然宿主とされるのですが、感染した死体に触れても感染しますから、野生の猿などの動物のエボラ病死体に触れても感染します。

昔はこの病気で発熱すると、その村は以下のようにして大量感染を防いだそうです。
まずその病人を隔離する小屋を建ててそこに病人を移し、入り口に棒などを使って離れたところから食糧を小屋の前に置きます。
食糧が無くなるうち(食べている間)は生きている証しとして食糧を与え続けます。しかし、何日も食糧が食べられていないと、死んだと判断して小屋ごと火を放ち焼き払うのだそうです。(ちなみにエボラウイルスは60度以上の温度で死滅するそうです)
回復すれば病人は小屋から出てきて、村人に合図するわけですね。100%の致死率ではないわけですからね。

残酷なようで、しかし他になすすべを知らなかった昔の人達にとって、この処置は意外と人にやさしい対処(掟)だったのかも知れません。
そうしないと村中が全滅するかも知れないのですからね。

西洋文明が入ってから人の移動が長距離になり、潜伏期間中に動き回ることから感染域が広がってしまったのではないでしょうか。
さらに今回、WHOなどの医師団が入り、村人が作る小屋ではなく近代的な病院での隔離で、死亡した患者さんをそのまま遺族に渡したりしたことから拡散したようにも思います。

医師が使った防護服も、その脱着時に防護服の外側についたウイルスに感染したことが疑われています。
潜伏期間中の移動も飛行機によって拡散し、フランスやアメリカにも感染患者を出してしまいました。
日本の医師も「国境なき医師団」のメンバーとして参加していますから、十分注意して帰国しないとウイルスを日本へ持ち込むことになります。

日本の空港ではアフリカなどからの入国者(帰国者も)の血液検査実施で水際作戦をしていますが、フランスやアメリカからの旅行者には実施しておりません。
多くの病院に隔離室を作って体制を整えていますが、国内感染が始まったらとても足りないのではないでしょうか。

日本の富士フイルムホールディングス社の系列である富山化学工業が開発したインフルエンザ治療薬「ファビピラビル(商品名アビガン)」がフランスの患者さん(現地に行った看護師)を治したそうです。
この薬は、従来のインフルエンザ治療薬のような感染細胞からウイルスRNAの放出を阻害する薬とは異なり、ウイルスの細胞内での遺伝子複製を阻害することで増殖を防ぐという新しいメカニズムを有する薬剤(RNAポリメラーゼ阻害剤)なのだそうです。
トゥーレーヌ仏保健相が10月4日に声明を出し「治療は成功し退院した」と発表しました。そしてフランスとギニアでは、この薬の臨床試験の実施が決まったそうです。

そしてこれを聞いたのがどうか、負けてはならぬ中共が「JK─05」というエボラ出血熱治療薬を開発してアフリカへ千人分の供給を始めたそうです。

まあ、中共製でもなんでも、エボラ出血熱が収まればそれに越したことは無いのですけどね。

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