対米関係の重要さを一貫して訴え続けた岡崎久彦氏が、10月26日に亡くなりました。享年84歳でした。
岡崎氏は、「日本はアングロサクソンと一緒に動いているときが一番うまく行く」という持論を語っておられました。
そして現在は安倍首相の大事なブレーンの一人でした。
大連に生まれ、東大在学中に外交官試験に合格。昭和27年に外務省に入省。情報調査局長、駐タイ大使などを歴任した方です。退官後に岡崎研究所を設立、自ら理事長・所長を務め、現在も多くの優れた研究員を抱えております。
安倍内閣では、集団的自衛権行使容認に向けて設置された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」のメンバーとして積極的に発言して、7月1日の行使容認の閣議決定後には「35年間、戦い続けてきた目的が達成された」と涙ぐんでおられたそうです。
1980年ごろは防衛庁に勤務していたそうで、その時はソ連艦隊が南シナ海の航行を脅かしていたそうです。
日本にとって死活的な重要性のある東京湾からペルシャ湾までのオイルルートを米国第7艦隊が防衛していた時代です。
岡崎氏は、昼は40~50度となり夜もろくに気温は下らない海域の防衛に従事していた米軍司令官から、「来る船来る船日本のタンカーだ。私には日本の政治事情は分かるが、水兵たちには分からない。どうして日本の海上自衛隊はパトロールに参加しないのだと不平が収まらない。そういう状況だということだけは分かってほしい」と訴えられ、集団的自衛権行使容認を痛感したと言います。
それから35年の戦いです。
集団的自衛権行使容認が閣議決定され、政府解釈の変更が決まりました。即ち日本はパトロールに参加できるのです。
具体的な武力行使となると場合によっては法律の整備が必要となります。おそらく関連法案提出は政府の公約であり、この秋に整備されることでしょう。
自民党の不祥事などが国会の審議を遅らせていますが、これもサヨクの抵抗なのではないでしょうか。
集団的自衛権行使のための関連法案提出が遅れ、なにか心もとなくなっています。
この状態を岡崎氏はどのように見ていたのでしょう。
岡崎氏は、日本のパトロール参加で世界最高を誇る日本の哨戒能力が発揮されれば、それだけで抑止効果があると述べておられました。
「法的に問題のある武力行使は、法整備までは米側に任せておけばよい」と言っておられました。「何よりも、米軍とともに汗を流すことが同盟の絆を固める」という意見でした。
岡崎研究所の川村純彦副理事長も、日本の対潜哨戒能力を評価しております。
南シナ海の海南島に中共の原子力潜水艦の海底基地があります。そこから東に日本があり、常に対潜哨戒が行われています。
中共の対潜哨戒能力はまだ低くて、日本の潜水艦の所在は掴めていないはずです。
逆に音のする原潜は居所がつかみやすく、日本の自衛隊とアメリカ軍は、この対潜哨戒のおかげで中共のすべての原潜の所在が常にリアルタイムで判っていると言うことです。
この哨戒能力をオーストラリアまで拡張し、さらにインド洋まで拡張するのが集団的自衛権の目的だろうと思います。もちろん中共の原潜の位置の常時把握です。
この対潜哨戒ネットワークにオーストラリアやインド、フィリピンも参加すれば、中共の原潜は手も足も出ません。
中共の原潜には核ミサイルが搭載され、常にアメリカの都市に照準を合わせています。しかも核戦争の現実など、人民解放軍は何も判っていませんから、ミサイル発射の素振りが見えたら直ちに撃沈しなければなりません。
このような攻撃はアメリカが得意とするところ。ですから日本の対潜哨戒によって常に居場所を把握しておくことがいかに大事か・・・これが集団的自衛権行使の解釈変更の意味なのです。
岡崎氏35年の戦いの理由がこれだったわけです。
謀略に長けたアングロサクソンは、日本に対してどのような振る舞いを見せるか、油断は出来ませんが、それでも他の民族よりも合うのかも知れない・・・岡崎氏はそう見ていたのでしょうか?
噂ですが、安倍首相はオバマ大統領に「ウクライナ問題について、これ以上の協力は出来ない」ときっぱりと言ったとか。
プーチン・ロシアとの領土交渉が安倍政権の仕事の一つだと考える首相の、強いリーダーシップが出てきているようです。
時代は変わり、いまやアメリカは超大国ではありません。そしてアングロサクソンの国家は、どこも経済的に斜陽になっています。だからこそ日本は、アングロサクソンにとって必要な国家となるわけですけど。
そういう国際社会の移り変わりを岡崎氏はどのように見ていたのでしょうか・・・・
ご冥福をお祈りいたします。
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