2012年6月24日日曜日

ベトナムの拒絶、南沙諸島とその海域の中共覇権


ベトナム外務省報道官は、南沙と西沙諸島の領有を明記したベトナムの海洋法が可決したことを受けて、6月21日夜、中共が「両諸島は中共の領土」とする声明を出したことを批判し、「中国の道理に反した批判は強く拒絶する」旨を発言しました。

ベトナムは共産国。そういう意味で中共との関係は深く、政治の上層部は中共の上層部とつながっていることは周知の事実です。
しかしこれはベトナム戦争時代からのつながりであり、癒着と汚職にまみれていることでしょう。
ベトナムが戦争に勝利したのは1975年4月30日の「サイゴン陥落」の時でした。戦争中、裏からさまざまな支援をしてきた中共と、勝利の英雄たちとの間で、切っても切れない関係が築かれていたとしてもおかしくはありません。

しかしその頃からはや37年の歳月が過ぎています。当時戦争を指導してきた政治家たちは、すでに死んでしまったか、あるいは高齢になっていると思います。
アメリカが、ベトナムとの間に国交を回復したのがソビエト崩壊後の1995年8月5日でした。その後ベトナムは貿易額では中共に次ぐ第2位をアメリカにしております。

貿易の2番手が1番手を追い越す最大のチャンスは、ベトナムと1番手の中共が仲たがいをした時です。
しかも中共は世界的に評判が悪く、さまざまな国の国民の怒りを買いやすく、それがマスコミの記事として出てくることもしばしばです。
若いベトナムの指導者は、長老たちの前では中共との強い結びつきを演技するかも知れません。それは既得権がもたらすものでしょう。
本音では、アメリカとの交渉の方が面白く、また未来的と考えているのではないでしょうか?
そして、死に物狂いで戦った2国は、戦後は相互理解が進むこともあるようです。日米の間にも、そういうものがあったように感じます。

そしてもうひとつ、アメリカは威圧する場合でも「表玄関」から攻めてきます。中共は必ず裏工作で懐柔策をとり始めます。「強烈な交渉」と「トラップ工作」のどちらをベトナム国民は良しとするでしょうか?

その上でこのベトナム外務省報道官の声明を考えて見るべきでしょう。

さて、南沙諸島の領有権とは、中共にとっては第1列島線の「南シナ海と東シナ海を囲む全領海」への覇権の布石です。そうしないと対米戦略がうまく行かなくなります。
第1列島線に含まれる尖閣諸島を、どうしても中共の領土としなければならないことと同じ。海南島の軍事基地を対米戦略にうまく使えなくなります。

アメリカの核弾道ミサイルが中共・北京を直撃できるのに、中共の核弾道ミサイルがワシントンDCに届かないのは、何とも我慢できないところ。
これが「太平洋分割の恫喝」の意味だったようです。
バカバカしいと思うかも知れませんが、これが戦略と言うものです。アメリカは「西部開拓」を今も止めずに日本から中国大陸に向かっているのですし、中共も古来からある「中華思想」の実践を目指すのです。
それが基本にあって、そこから国家戦略が作られていきます。だからどんな苦痛にも耐え、時代と共に戦略の手法を変え、それでも国家の威信を掛けて戦うことが出来るわけですね。
(日本にもあります。ただ敗戦後、チャラチャラした平和という怠惰主義に陥り、それで良いと思い込んでいるだけです)

だから第1列島線なのです。
原子力潜水艦に搭載された核弾道ミサイルをワシントンDCに打つために、グアム島近海まで出て行き、そこから発射すればいい・・ということで、アメリカと対等な交渉が出来ると言う訳です。
それをアメリカが認めることは出来ません。あくまでも中共を民主化させ、アメリカ資本をねじ込み、市場をよこせということです。(発言する場合は「市場の開放」と言います)

日本にとって、第1列島線が確立してしまえば、生存圏の危機となります。(漁業資源とシーレーン)
そしてアメリカと中共が太平洋の覇権を争えば、日本が戦場になってしまう可能性が大きいことと、その決着として日本列島の分割が米中の共通利益になってしまうかも知れません。
ですからどうしても第1列島線の確立を阻止しなければならないわけです。

同様なことが南シナ海にもあります。こちらはもっと複雑で、ベトナムだけでなく「マレーシア」と「フィリピン」も絡んできますからね。
しかし、軍事的に強いのはベトナム。なにしろ唯一「アメリカ」に勝った国ですからね。

さて、中共は次にどのような手段で対抗してきますかね・・・

0 件のコメント:

コメントを投稿