2019年2月10日日曜日

ロシアとの議論を楽しもう

ロシアの人達は議論が大好きと聞いたことがあります。両者が納得するまで延々と議論が続くそうです。そして結局物別れだったりするそうですが、それでも良いようですね。

先日ラブロフ外相と河野外相の会談で、ラブロフ氏は「第二次世界大戦の結果、あの4島はロシアの領土になった。それを日本も認めろ!」と怒鳴ったそうですが、河野外相は何も言わなかったとか。いや、実際は反論したのかどうか判りませんけど・・

1月になって、「九州正論懇話会」にて産経新聞の斎藤勉論説顧問が、北方領土問題に関して次のように話されたそうです。
「北方領土については紛争ではなく、独裁者スターリンの指令による国家犯罪だ。日本のポツダム宣言受諾後、四島に入り込み、火事場泥棒的に強奪した」と。
そしてこれが産経新聞に掲載されました。

ロシアに対して、かなり刺激的な内容です。これくらい刺激的な論調を発しないと、ロシアは反応しないでしょうからね。

そうしたところ、ロシアの駐日大使であるガルージン氏が反論してくださいました。
「産経新聞に掲載された斎藤勉論説顧問によるロシアに関する不快な記事に対して、断固として反論する。」という書き出しで、フェイスブックとツイッターによる反論です。

「あなたは1945年に対日参戦したソ連を非難するのか。完全に合法的に行われた南クリール獲得を『犯罪』と呼ぶのか。あなたには歴史の教科書を開き、注意深く最後まで読むことをすすめたい。」と、対日参戦は合法的に行われ南クリール獲得も合法的だったと言う訳です。

その後に、この反論はナチスドイツの戦争犯罪を引き合いに出します。
「第二次世界大戦時に日本がナチスドイツの同盟国であったことを思い出していただけるだろう。そう、日本は最も罪深い犯罪者であるヒトラー政権と同盟していた。ヒトラー政権によって、ユダヤ人ホロコーストは行われ、何百万というロシア人、ベラルーシ人、ウクライナ人、ポーランド人、フランス人、その他多くのヨーロッパの国民が命を奪われ、『死の工場』と呼ばれた強制収容所が作られ、ロシアを含むヨーロッパの何千という街が破壊された。」とナチスドイツと日本が同盟を結んでいたことを、日本もホロコーストに関与したかのような言い方をしてきました。

そして「ナチス幹部はニュルンベルク裁判の判決により罰せられた。」と述べたあと、「斎藤さん、あなたはこのことを忘れてしまったのだろうか。戦争当時、日本の指導部が誰を支持していたのか、知らないとでも言うのだろうか。しかし我々はすべて覚えているし、知ってもいる。当時の日本の行いについて悔い改めるにはまだ遅くはないと考えている。」などと述べております。
ナチスドイツと日本が同盟を結んでいたから、日本は悔い改めよ・・と言っているのです。
これで南クリール諸島を奪ったことの正当性になっているのでしょうか。

このガルージン駐日大使の反論に対して、斎藤顧問は再反論を致します。

「ロシア外務省の『ジャパン・スクールの俊英』と誉れ高い大使閣下の反論だが、失礼ながらまともな反論とは言い難い。北方領土(ロシアでは南クリールと呼称)『獲得』について、冒頭から『完全に合法的に行われた』と聞き覚えのない表現。何かその目新しい証拠でも出てきたのか、と思ったが、それはなし。『獲得』を『国家犯罪』と断じられたことがご不快らしい。」と、ガルージン駐日大使を非難しました。

「私はとうの昔から北方領土奪取と、これとセットで断行されたシベリア抑留、北朝鮮による拉致事件を戦後未解決の『国家犯罪』と主張してきました。」と続けます。
「スターリンの直接指令でソ連軍は1945年8月、日ソ中立条約を一方的に破って対日参戦し、日本(日本軍)が降伏後に丸腰の四島に侵攻して占領した。これが『犯罪』でなくて何なのか。」と厳しく迫ります。

「国家犯罪はおろか『領土不拡大』を明記した『大西洋憲章』に違反する『国際犯罪』でもある。日本がナチスドイツと同盟国だったことを私への反論の唯一の材料として持ち出しておられる。この関連付けが全く理解しかねる。」・・その通りですね。

「ヒトラーは『最も罪深い犯罪者』だが、スターリンは違うと言いたいのか。『同盟国』ゆえに日本もナチスと同じ犯罪者だというのか。逆にお聞きしたい。日本はいつ、どこで、いかなる『ホロコースト』をしたというのか。」と激しく抗議しています。

「ナチスの『死の工場』というのなら、シベリア抑留の残虐非道はどう説明されるのか。」と核心をついていきます。
「戦後、日本の支配地域から『ダモイ(帰国する)』とだまされて60万人もの日本人が酷寒の地へ拉致され、奴隷労働同然に酷使されて6万人もが無念の死を遂げた。」と述べ、続けて「ポーランド将校ら2万人余が虐殺される『カチンの森事件』が起きた。スターリンは一貫して『ナチスドイツの仕業』と世界に大ウソをつき続けたが、ポーランド政府の粘り強い真相解明の国際的訴えかけでゴルバチョフ時代、ついに『スターリンの犯罪』と認めさせた。」と、なかなか手厳しい反論でした。

さて、ガルージン駐日大使の再々反論が楽しみですね。ガルージン氏でなくともロシアの方の反論、歓迎しましょう。

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