民主、自民、公明3党が共同提出した郵政民営化法改正案。それがこの12日に衆議院を可決し、そして参議院でも可決することがどうやら確実になったようです。
何が変わったかと言うと、「郵便局会社と郵便事業会社を合併し、現行の5社体制を4社体制に再編する」ということ。そして「政府出資の日本郵政が保有するゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の株式については、時期を定めずに『全てを処分することを目指す』と努力目標に変えた」ことのようです。
小泉政権時代、郵政民営化法は「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」の株式は早急にすべてを処分する」と」なっていたようです。
それが2009年の12月、麻生政権で「郵政株売却凍結法」で一時凍結しました。ビックリしたアメリカは、ここでTPPを考えるわけです。
なんとしてでもあの金をアメリカが使うようにしなければならないということ。「戦後太らした豚に逃げられてたまるか!」という思いだったのかも知れませんね。
しかし今回、「時期を定めず全てを処分することを目指す」としたわけで、TPPの目的が反故となってしまったのです。
「時期を定めず」とは、すなわち100万年後でもいいわけですから・・・
アメリカは激怒して当たり前。野田政権になって、やっとTPPのテーブルに着かせて、TPPという餌で「郵政株売却凍結法」を解凍し、おとなしくアメリカへ持ってくるだろうという予定が大きく崩れたのですから。
「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」の完全民営化路線の後退で、米保険業界の参入が一層阻害されることが確実になったと見ているのでしょう。
米通商代表部のカーク代表が、玄葉光一郎外相に対して「米国の議会や利害関係者が強い関心を有している」と述べ、特に保険分野を問題視、今後、両国で継続協議することになったそうです。
怒りの収まらない米国生命保険協会は「公正な競争条件の確保を求めてきた業界の懸念を無視した」と非難声明を出しているとか。
ここで、アメリカの言う「公正な競争条件」とは、政府が関与する保険は、アメリカという民間主導の競争原理に鑑みて不公平ということでしょう。
しかし、日本側の反論としては、「だから未だにアメリカでは『皆保険』が実現されず、野蛮な状態が続いているのでしょう」と言ってやればいいのではないでしょうか?
「民間主導の競争原理」とは、集めたお金を投資して、その金利で保険の運用を行い、契約者に確実な保険金の支払いを約束するもの、ということでしょうが、政府がバックアップする保険は、いざとなったら税金を投入してでも保険金を支払う体制のことで、さらにそれでも不足する場合は「政府権限での通貨発行(国債も含む)を行ってでも支払いを行う」というものです。即ち、民間のミクロ経済ではなく、マクロ経済の下で行う保険業務ということですね。
どちらが良いのかは判りません。しかし日本国民が選挙で選んだ国会議員の決議で可決した法案です。アメリカが激怒する謂れは無いはず。どうして怒るのか、そこを詳細に聞いてみたいですね。
日本は主権国家であり、しかも民主主義で運営されています。アメリカのような巨大保険資本の圧力で動く政府ではないのです。
ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険について、「競争条件を民間と等しくするよう、日本政府はあらゆる手段を講ずべきだ」と言うアメリカの主張。
さらに米国車の販売の拡大を阻んでいると批判したり、多くの医薬品や医薬機器も「日本市場に浸透していない」などと述べております。
しかし米国車が日本国民に受け入れられていない原因は、恐らく非関税障壁ではないでしょうし、医薬品や医薬機器が日本メーカーとの競争に不公平があるとは思えません。保守やメンテナンスの問題とか、点検サービスの問題などを含めて考えて欲しいものですね。
TPPへの日本の交渉参加に、この問題が大きな足かせとなるとのアメリカの意見です。米保険業界にはかんぽ生命が政府の信頼をバックに営業を続ける可能性が残ることに猛反発しているそうですが、それがアメリカ国民の意見と同じなのかどうか聞いてみたいですね。保険業界の操る資本が、どのように運営されているかも、もっと緻密に公表して欲しいと思うのですが・・・
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