日銀の白川総裁がインフレ目標政策を打ち出しました。世界的にインフレターゲット政策が主流になっていく中、白川総裁も知らん顔も出来ず、思い腰を上げたようです。
しかし、あいかわらず白川節は健全で、インフレ目標はインフレターゲットとは違うと話します。インフレ目標は英語に訳すと「インフレゴール」であってターゲットではないことを強調。
「短期的な物価動向にとらわれ、無理に紙幣を増刷してインフレに誘導する」インフレターゲットとは違い、「中長期的にみた物価や経済・金融の安定を重視した」ものがインフレゴールである・・・などと説明しております。
そして、「インフレ・ターゲット政策の導入国も、目標が中長期的な視点に変わりつつある」と、インフレゴール論の正当性を主張していますが、問題は言葉の遊びではありません。何が何でもデフレを克服するというクリエーティブな発想が含まれているかどうかではないでしょうか?
英国のインフレターゲットは、政府が物価目標を定め、英中央銀行のイングランド銀行が目標達成のための金融政策を運営しますが、ターゲットは消費者物価の上昇率2%として、上下のぶれが1%を超えた場合は、その理由や対策などを財務相に報告するように義務付けております。
これに対して日銀のインフレゴールは、中長期的な物価安定の水準を、消費者物価の前年比上昇率で「2%以下、当面は1%」に設定しただけで、結果責任についての言及はありません。
白川総裁は、日本は「市中に供給されている通貨が主要国の中で最も多い」ことを強調しています。そして「平成12年以降、恒常的に需要不足の状態が続いている」として、需要を創出するための取り組みがなければ、通貨政策だけではデフレの克服は出来ないことを述べております。確かにその通りですね。
その上で、政府の国債買い入れ10兆円の増額も決めたとのこと。大震災復興の需要に向ければ短期的には少し効果があるでしょう。
さらに白川総裁は、「高齢者や女性が働きやすい環境づくりを整え、就業者人口を増やす取り組みを進める」ことが必要と述べ、「多様化する国内需要を掘り起こすための企業努力の不足」を訴えました。
ここらへんは賛同いたします。日本の企業努力が、人件費の安い海外での生産だけでは、とてもデフレ克服は不可能、むしろデフレ促進に向かうだけです。
「成長力強化のための魔法のつえはない」とは、まさにおっしゃる通り。日本の企業にも猛省を促したいところですね。
石原新党は、その政策作文の中で「100兆円の政府通貨発行を行う」ことを明記しました。これは、「円」の発行権は日銀だけでなく日本国政府にもあることを述べたもので、具体的には補助通貨、即ち1円玉から500円玉は日銀通貨ではなく政府発行通貨ということになります。
コインを100兆円発行すれば、時間とコストがかかるでしょうが、政府が保有するスイカのカードに100兆円書き込めば、それで終わり。10秒とかからずに発行できるでしょう。法的には上限も無く、白川総裁は、これについて法的には文句が言えません。あとは何に使うかだけです。
しかし、白川総裁が言うように「国内需要を掘り起こす」ことが出来なければ意味がありません。お金が回らず銀行内に留まってしまうことになるからです。
大震災の復興支援に使えば、確かに需要喚起にはなるでしょう。また、経済評論家・三橋氏の言うように、老朽化した道路や橋梁の修復に使っても需要喚起にはなるでしょう。
しかし、民間に渡った通貨は民間の新たな需要喚起が無い限り、再び銀行に戻っていってしまいます。
国内需要喚起には、先ず税制度が効果があります。たとえば電気自動車の税制優遇。IT関連であるインターネット放送局などの設備の償却期間の優遇、などが挙げられます。
電気自動車は、国内全域に充電設備を拡充すれば級数的に需要が伸びるでしょう。さらに自動車用リチュウムイオン電池の自動車以外への応用は、民間の発電設備需要につながる可能性も含んでいます。
インターネット放送局はすでに動き出していますが、小グループコミュニケーションの放送が可能で、劣化したマスコミュニケーションに対抗する新たなビジネスチャンスを生み出すはずです。
個人スポンサーとか、情報量の多いコマーシャルなどが可能になり、多様化する国民需要をグループ化して経済効果を醸し出すようになるのでは、と期待されます。
デフレ克服は、21世紀のライフスタイル創出につながるように考えなければいけないでしょう。それこそが古い既得権を瓦解させる原動力にもなるはずです。
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