2011年12月16日金曜日

空母ワリヤーグ、衛星写真が公開


中共がウクライナから購入し、遼寧省大連で改修した空母「ワリヤーグ」が、黄海で試験航海をしているところを捉えた衛星写真が、アメリカの衛星画像会社のデジタルグローブから公開されました。

ワリヤーグは、1985年からソビエト連邦で建造した空母で、ソビエト崩壊後ウクライナの海軍が所有していましたが、建造は中止され放置されていた船です。
それをマカオの会社が「海上カジノとして使用する」として2,000万ドルで買取り、そのまま中共の海軍に引き渡されたのが1998年。
引き渡された時にはエンジンも武器などの装備関係もすべて取り外された状態でした。

中共は、1996年の台湾総統選挙の時、「隠れ独立派」と疑う李登輝の当選を阻むべく、台湾海峡において大規模な軍事演習で脅しをかけました。この時アメリカ海軍の空母2隻が急遽台湾近海に派遣され、そして中共は押さえ込まれました。
この時、中共は何としても空母を持とうと決心したと言います。
そして、海軍の強化と空母建設への段取りが進められ、ワリヤーグの購入に結びついたそうです。

それから14年、よくぞここまで作り上げたものだと感心しますが、空母は航空機が離着陸出来て初めて空母と呼べるようになります。現在のワリヤーグはまだ単なるモックアップ。近隣諸国に恐怖感を与える役割は果たせそうですけど、搭載する飛行機はまだないはずです。

現在、中共の持っている飛行機は、ロシアから買ったスホイ33で(これをライセンス料も払わずに中共国内で生産し、安く他国へ売却するものですからロシアがカンカンに怒っています)重量が20トンもある複座多用途戦闘機です。
どう考えても、こんな思い戦闘機は空母から発信は出来ません。現在一番軽い戦闘機は英国軍のハリヤー垂直離陸戦闘機ですが、これが重量は7トン。スホイ33はその3倍ありますからね。
中共が艦載機として入手しなければならない戦闘機はロシアのミグ戦闘機なんですが・・・

そして空母から発進するときに必要となるカタパルトの技術。アメリカの空母は蒸気圧を利用するカタパルトを採用していますが、かなり難しい技術です。

また、ワリヤーグについているエンジンは、空母用ではなく一般の船舶エンジンだとか。出力が小さく、スピードはあまり出ません。
空母でスピードが出せないと、どういうことになるか・・・

一般に空母から戦闘機を発進させる場合、船を風上に向け、あるスピードで航行します。そうすることで飛行機が空中に浮くことを助け、リスクを低減させるのですが、そのスピードが得られませんと発進時の事故リスクが高まってしまいます。

着艦する場合には、機体制動用ワイヤー(アレスティング・ワイヤー)が必要になりますが、これも中共は持っていません。

衛星写真では威風堂々と航海しているように見えますが、とてもまだ使い物になる空母とはなっていないようです。
艦載機もどこの国も売ってはくれないでしょうし、乗組員の訓練も手伝ってはくれないでしょう。


中共海軍の太平洋覇権・・・それにはまだまだ時間が必要だと思いますけど・・・

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