2011年10月17日月曜日

世界同時デモ、反格差デモの波及


アメリカから始まった反格差デモ。お金の偏りが引き起こしたプア・ホワイトも含んだデモが、アメリカ全土だけに留まらず、英国、ドイツ、スウェーデン、オーストリア、日本と波及してきました。

10年以上の長きにわたり日本を痛めつけて来たバブル崩壊後の不況。それでも日本国民はじっと耐え、このようなデモは行いませんでした。
この土地バブルを見ていたアメリカが行ったこと。グリーンスパン氏がイラク攻撃などの戦費調達に使ったのは、「日本の土地バブルの崩壊は、日本国内だけの市場だったから。アメリカの不動産ローンを、世界市場で証券化して細かくし優良証券と混ぜて売れば・・・」として始めた不動産バブル。
戦争が中途半端に終わって、ブッシュ政権が終わった時、そのバブルも終わって、世界中を巻き込んだ大不況が訪れました。

グリーンスパン氏のあとにやって来たバーナンキ議長は、自論の実証で不況を克服すべく、大量のドル発行に踏み切りました。日本の長期不況は「円を発行しないからだ」ということで、そうはならないようにと考えたからでしょう。
しかし、結果はその資金が金融企業によって操られてしまいます。世界に拡散しているドルは、世界中の預金の裏づけであり、預金が求める金利を増やし、金融界が潤っただけ。
雇用は改善せず、金利生活者と労働生活者の間で拡大した不公平が、アメリカのプア・ホワイトをも怒らせてしまったわけです。

新しいデモはインターネットでの呼びかけから始まります。最初にこのようなデモを成功させたのは日本。今から10年ほど前、ある保守系の団体が「草莽堀起」というスローガンで始めたもの。この時、日の丸国旗を掲げて行進して、そのデモの意味を明確化しています。

今回の格差反対デモ。このようなスローガンが希薄で、反原発なども混ぜてしまったため、焦点がぼやけて、なんだか「烏合の衆」のデモになってしまったようです。
必ずサヨクが関係してくると、どうしてもこのようになりますね。アメリカの反格差デモも、警官隊と衝突するなど、途上国のようなデモになっていました。これではアメリカの再生などとても出来ないのではないでしょうか。

アメリカでのデモも、星条旗を整然と並べて、ホワイトハウスを遠巻きにする形で「星条旗よ永遠なれ」を合唱すべきでしたね。
そうすれば、世界中が理解したでしょう。グローバル経済が大失敗であったこと、それを踏まえてアメリカが、かつての快活で労働意欲にあふれ、アイディアを具現化するための強力なパワーを持った国に戻ろうとしていることを。
そしてスティーブ・ジョブス氏を「快活で、アイディアを具現化するための強力なパワーを持った最後のアメリカ人」にしないことを誓うべきです。
鎮圧するアメリカの警官隊も、星条旗に警棒を振るうことは出来ないのではないでしょうか?

お金とは国家が発行するもの。そして評論家の三橋氏が言っているように、すべてのお金の裏づけは、その国のGDP(国民総生産)であり、それ以外はありえないのです。
どんなに金融機関が頑張っても、お金の裏づけを作ることはできません。お金とはGDPの次に来るもの。お金が先には来ません。GDPをいかにして上げるか、そのための通貨政策でなければ意味はありません。
現在の通貨政策の常識は、中央銀行が発行する「借用書」をお金(現金)とする経済ドライブシステムになっています。
この「借用書」は、これを使って誰かが生産してくれることを期待して、その生産結果を裏づけとした借用書です。一番いい貸付先は政府。これで政府が国家建設を進めることが一番いいはずですが・・
中央銀行と政府が別組織になっているのは、インフレ抑制のため。政府がGDPに寄与しないお金を使うのを抑制することが目的です。そして注意すべきは、このシステムはデフレに対する抑制機能を持っていないということ。
このデフレを無視した通貨発行が、富の偏在、即ち金融の短絡を引き起こし、格差拡大となってしまったことが、このデモの根本原因のはず。

現在の日本で、この中央銀行による通貨発行システムを不要にするような実験が、密かに行われているようです。
インターネットを駆使するこの実験は、「電子手形決済システム」。日本の手形発行の商慣習を電子的に置き換え、これまでの手形ではなかなか出来なかった回し手形(手形の流通)の複数分割を可能にして、発行元の債務不履行(倒産)が発生しても連鎖を断ち切る銀行保障制度も含まれております。
始めたのは三菱東京UFJ銀行。(ほかの銀行は知らないので・・・)
まだ従来の手形を電子化するだけというスタンスを取っていますが、やがて電子マネーがもっと生活に普及してくると、手形資金でも現金でも同じようにコンビニで買い物が出来るようになるかも知れません。(電子マネーとは、小額取引(お買い物)もバランスシート取引になることを意味しますからね。)

インフレの抑制とデフレの防止。今だ未完成の状態にある経済の基本・「通貨システム」。
その不完全さがこの「反格差デモ」を引き起こした元凶でしょう。
アメリカは、今だ通貨を信用せず物々交換(バーター)で取引を行うグループも多く、日本にも以下のような団体がありました。
http://www.barter-japan.jp/
ここでは「バーターポイント」という擬似通貨を設けております。これを一般社会に拡大すれば、「電子手形システム」になるような気もいたしますが・・・

いずれにせよ「働けば豊かになれる」社会が実現しなければ、国家は衰退していきます。「働けば」という文句が「GDPを上げる」ことにつながっているからです。
バーナンキ議長の行ったドルの大量発行は、それが借金の返済に回って金融機関が膨らんだ結果、富の偏在となってしまったのではないでしょうか?
だとしたら大失敗。

完全なる「通貨システム」の構築こそが、21世紀の人類の課題なのかも知れませんね。

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