2016年12月11日日曜日

命乞い外交では平和維持は無理

外務省の外交は何処か「命乞い外交」の雰囲気があります。安倍外交で世界に日本の主張を言い出せる雰囲気を作ってきても、外務省が片っ端からそれを打ち壊す外交を展開しているように見えるからです。

今年、平成28年4月の岸田外務大臣の中共訪問の時のことです。外務省のホームページには次のようになっております。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page4_001992.html

しかしノンフィクション作家の門田隆将氏によりますと、「レコードチャイナ」が掲載した「新華社の『日中外相会談』報道」では、中共側の「一方的な攻撃」で終わったように書かれているとのこと。

まず王毅外相は岸田文雄外相に「この数年の間に、日中関係は絶えず波乱がありました。その原因については日本側が一番よくおわかりでしょう。近年、日本はたびたび関係改善を希望しています。もしあなたが誠心誠意で来たのであれば、私たちは歓迎します」と述べたそうです。
そして「中共には“その言葉を聞き、その行動を見る”という言葉があります。今日はあなたがどのように日中関係を改善するか意見を伺いたい。それと同時に、日本側が本当に行動に移すかということも見なければなりません。日中は隣国。私たちは当然日本と健全で安定した友好関係を発展させることを希望しています。同時に、この関係は必ず、歴史を正視するという基礎、約束を守るという基礎、協力であり対抗ではないという基礎の上に築かれなければなりません。あなたの今回の訪中が、日中関係の実質的な改善に作用することを期待しています」などと語ったとか。

つまり、ようするに「日本が関係改善を希望しているから、あなたに会ってやった。もし、誠心誠意、日本が態度を改めるなら歓迎してやる。日本にどんな関係改善の意見があるのかは聞く。しかし、問題はそれを日本が本当に行動に移すかどうかだ。日本は、歴史を正視し、約束を守れ。中共に対抗するのではなく、中共に協力的であれ」と言う意味になるそうです。
ずいぶん失礼であり、また上から目線ですね。どこまでいっても日本は中共の属国であるとの立場を変えておりません。中共は技術や経済などは他国が貢ぐものとしか認識していません。だから中華なのです。

この王毅-岸田会談を産経は、中共側が以下の「4項目」の対日要求を岸田外相に出しただけの「一方的な攻撃」に終わったとしております。
(1) 誠実に歴史を反省し、「一つの中国」政策を守る。
(2) 「中共脅威論」や「中国経済衰退論」をまき散らさない。
(3) 経済面で中共を対等に扱い、互恵を基礎に各領域の協力を推進する。
(4) 国際・地域協力で中共への対抗心を捨てる。

これは日本にとってすべて呑めない要求です。はっきり言って岸田外相は、中共から戦争を吹っかけられたと言うことです。

しかし外務省のページには「新しい時代にふさわしい日中関係についての大臣の考え方,すなわち,両国の協力という肯定的な側面を増やし,課題や懸念については率直な意見交換を行い適切に対処していくべきとの考え方を説明した。」となっております。日本は協力という言葉を使っておりますが、相手は貢物を持ってくるとしか捉えてないはずです。
その理由は、「中共の軍事力の前に命乞いに来たのが岸田外相だ」という認識しか持っていないように思うからです。

アメリカが内向きになり、日米安保が履行されない可能性が出てきて、それでも日本は憲法改正が出来ず軍事システムが機能しない状態にあることは、日本国民よりも中共政府の方がしっかりと認識しております。
だから日本政府は「命乞い外交」しか出来ないと読んでいるわけです。もちろん命乞いである以上、中共の言う事を聞き、協力しなければ「攻め滅ぼす」というニュアンスが滲み出ております。
どう考えても、この外務省のやり方では「平和維持」は不可能ではないでしょうか。

軍事技術においては、日米の連携は続くでしょう。第6世代の戦闘機は一人のパイロットと地上部隊で無人機編隊を組んで飛行できるようにするとか、カーボンファイバー翼の揚力を自在に変えてその運動性能を飛躍的に上げるとか、マイクロカメラとヘルメットディスプレイでパイロットはコックピットから全方位を見ることが出来るようにするなど、研究開発は進んでいます。

安倍外交も対中包囲網の構築を進めておりますが、北方領土問題や北朝鮮拉致被害者救出問題など、現行憲法に阻まれて難しい局面にもなっております。

トランプ次期大統領も、対中戦略には苦慮しているようですね。ビジネスなら友好関係を保ちたいからかどうか、中共の大使に習近平氏と友人関係にある「テリー・ブランスタド米アイオワ州知事」を任命したりしております。
このテリー・ブランスタド氏は、トランプ政権が打ち出すかも知れない「対中懲罰関税」などを習政権に呑ませられるのでしょうか。

世界は今、国際金融資本が望む自由貿易が「利己貿易」化(金利主義)していることに反旗を翻しています。金融で世界征服はさせないという流れです。
気を付けないと国際金融資本は中共との共闘を始めるかも知れません。安倍首相のTPP推進も注意しないと足元をすくわれます。
このままでは今後は、各国が関税をかけはじめるでしょう。貿易には新しいルールが必要です。

日本は自由貿易で莫大な利益を上げ、アメリカからバッシングを受けました。自由が利己化する直前に日本の取った行動が「自主規制」でした。(アメリカの圧力などと言う批判もありましたが・・)
ここら辺に新しいルール作りのカギがあるように思います。

日本が新しいルールを考案しても、軍事的背景が無ければ世界は耳を貸しません。どう見ても、平和の背景には軍事力も必要なのですね。(戦争を引き起こす利己主義こそ、まだ現世界の常識ですからね)

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