2015年5月9日土曜日

拉致問題の解決を阻むのは・・

今年4月26日に、「不退転の決意で全員救出を!国民大集会」と銘打った拉致被害者家族会の訴える会が日比谷公会堂で行われました。

毎年開かれていた会ですが、今年はもう「今年こそ・・」などと言う文言はやめて、かなり厳しい集会になっていました。
安倍首相も登壇され、「拉致解決に全力を尽くす」と講演され、すぐにアメリカ出発となっていましたが、拉致被害者家族の方々はもう永田町にも霞ヶ関にも期待していないようでした。

このブログでは、数年前から「軍事力行使がなければ解決不可能」という主張を繰り返してきました。それには憲法改正が必要という意見もありますが、「解釈変更で可能」とする方は少なかったように思われます。

今年は、家族会の増元照明「家族会」事務局長の発言、そして荒木和博・特定失踪者問題調査会代表などの意見が確信を突いていたと思います。
即ち、「主権者たる国民に、その意思も覚悟もない」ということが最大の原因だろうと言う訳です。

増元氏の元には電話やメールがよく来るそうです。大半は励ましや情報提供なのですが、その中には「お前は戦争をしてでも救出しろと言うのか」などと、平和団体的な、やくざっぽい脅しもあるようです。
しかし、その「戦争をしてでも救出」が一番当たっているように思います。

国民が拉致されたなら多くの国家は奪還に必死になるでしょう。軍事力行使もいとわないはずです。それがあるから、拉致などという犯罪が押し留まっているようなものです。

ところが日本は、北朝鮮が拉致を認めても何もしませんでした。経済制裁は行いましたが、中共などの反日の影響もあり、またもともと破綻国家ということもあり、奪還に関してはほとんど効果がないわけです。

増元氏は、西郷南洲翁の遺訓を取り上げました。「正道を踏み国を以てたおるるの精神無くば、外国交際は全かる可からず。彼の強大に畏縮し、円滑を主として曲げて彼の意に順従する時は、軽侮を招き、好親却て破れ、終に彼の制を受けるに至らん。」という遺訓です。

そして増元氏は、「今の外務省の交渉では北朝鮮に舐められているのではないか」と述べ、「われわれが言っているのは、生きている被害者を今すぐに返せということです」と続けました。
増元氏は外務省前に3日間座り込みをし、朝鮮総連の事務所前にも座り込みをしようとしたら、警備員が「それだけはやめてくれ」と言ってきたと述べております。
もう自分一人で奪還するしかないというところまで来ているとのことでした。国民の皆様と「怒りを共有したい」と述べていましたが、その国民の半分はサヨクのようですね。

拉致問題が解決しない原因の主たる部分は北朝鮮ではなく国内にあるように思います。拉致事件には、おそらく国内に誘導したやつが居ると見ていますがどうでしょうか。
そして北朝鮮では、その国内の誘導者などが被害者にバレていて、それで帰国させないとも考えられるのではないでしょうか。(帰国させないように彼らが頼んでいるのかも)
これは北朝鮮から見れば、絶好の操作手段です。日本のサヨクはこのようにして彼らにあやつられているように感じます。(沖縄・米軍基地反対運動も、別の構造でこのような手法がちらついていますね)

また、保守側の知識層も無意識にこのような利敵行為に加担している節があります。
例えば「憲法改正」の問題で、「現行憲法でも解釈ひとつで軍事行動が出来る。」という意見があります。そうすると改憲論者が、「もう解釈では限界にきている。改憲しか手段はない」というような言い方をしております。

それでは「芦田修正」は何のためになされたのでしょうか。
命がけで芦田衆議院帝国憲法改正案委員小委員会委員長がGHQの思惑をかいくぐり、第9条第二項の頭に「前項の目的を達するために」という一文を入れたのが芦田修正です。
この「前項」が何を指すのか、9条第一項なのか、それとも憲法前文を指すのか、さまざまな解釈を行うことが可能なのです。

マッカーサーノートによって、日本国憲法は第9条第二項から書かれ始めたと言われる憲法です。ゆえに、その第二項の最初の一句、「芦田修正」の解釈如何によって、日本国憲法は根底からひっくり返される性質をもっているように感じます。
ですから、ここの解釈はしない(無視する)というのがサンフランシスコ条約の密約だったと聞いたことがあります。

こんな不安定な憲法だからこそ改正すべきなのは当然ですが、今は拉致被害者奪還に焦点を当てて考えているのです。
「前項」を第9条第一項としますと、そこには「国権の発動たる戦争の放棄」が該当します。拉致被害は国家犯罪であり、その奪還のための軍事力行使は「犯罪解決の為の軍事力行使」に当たりますから「前項の目的」とは関係がありません。
この解釈から考えれば、北朝鮮に対して拉致被害者を救出するための開戦は、「日本国憲法で許容された範囲内」ということになります。

こうすると、改憲を進めている人たちは、「こんな解釈が出来るなら改憲の必要はない」となってしまうことを恐れているのかもしれませんね。
改憲派の保守の方々は、「占領中に押し付けられた憲法」の改正が目的のようですから。しかし、問題が拉致被害者奪還にあるとすれば、それはそれ、これはこれ・・・

これで「北朝鮮に対しては軍事力行使は可能なのだ」という解釈が成立するとなれば、それは北朝鮮に対する強力なブラフになるのではないでしょうか。
これを日本国民の半数以上が支持し始めれば、北朝鮮は日本の平和主義を舐められなくなるでしょう。

こういう環境を作ってから北朝鮮と拉致奪還の交渉を始めるならば、その効果は期待できるように思います。それが出来ないのは、国内サヨクが邪魔をしているからかもしれませんよ。

国民の多くがこの憲法解釈を支持し、声を大にして拉致奪還を叫ぶならば、北朝鮮は動くでしょう。ですから、拉致家族会の方々は、この憲法解釈をするように政治家と国民に働きかけるよう、戦略を変えることが必要だと思います。(マスコミは敵に回るでしょうけど・・)

拉致に関するボールは、今、日本国民の手の中にあるわけですから・・・・

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