2014年9月24日水曜日

日露首脳会談は実現するか?

ロシア側からプーチン大統領の訪日延期を伝えられ、原因は「日本側の経済制裁だ」と言われてしまった安倍政権です。
日本政府は、ウクライナ南部クリミア併合と東部不安定化に関わったロシアの個人・団体の資産凍結を柱とする対露追加制裁をしたからでしょうね。

ウクライナ情勢をめぐり、欧州連合(EU)や米国と歩調を合わせる形で制裁を発動した日本政府ですが、ここでロシアとの首脳会談が流れてしまうと、北方領土問題だけでなく、欧米追従型が全く変わっていないと世界に思われてしまう危険性があります。これは国内でも野党の追及ポイントになるでしょう。

米欧との対露結束を示したということはあっても、それでロシアが困ることは今のところありません。アングロサクソン系国家もそれは判っているはずです。
ロシア制裁を望んでいるのは、アメリカのウォール街、即ち金融関係ですからね。

ウクライナへの介入を強めるプーチン政権にさらなる圧力をかけるため、欧州連合(EU)は新規の武器売買契約の禁止など軍事、金融、エネルギーの広範な分野で対露制裁に踏み切りました。
しかし、エネルギーを抑えられている欧州国家も多く、どうも迫力がありません。
また、英国は自国内部にスコットランド分離などの問題点を持ち、またイスラム国の人質問題もあります。同じようにアメリカにもイスラム国への制裁処置などの問題を抱え込んでいます。

森喜朗元首相がロシアに趣き、プーチン大統領と会談したのが9月10日でした。ここでプーチン大統領は、「日本との対話はこれからも続けていかなくてはならない。安倍氏によろしく伝えてほしい」と森氏に告げたとのことでした。

安倍首相の誕生日は9月21日、今年還暦を迎える安倍首相に、ロシア・プーチン大統領からのお祝いの電話がかかってきました。
「60歳のお誕生日おめでとう!」という電話を、欧米は止めることは出来ません。そしてそこで安倍首相は「11月のAPECも含め、マルチの国際会議の場を活用し、日露間で対話を行っていくことが重要だ」と大統領に述べたとか。
すなわち、11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に日露首脳会談の開催を提案したわけですね。(もちろんAPECでなくても、その他の国際会議の場であればどこでも出来ることを示したわけです)

APECが出来たのは1989年でした。そしてAPECにロシアが参加したのは1998年です。2014年11月に北京で行われるAPECには、プーチン大統領は出席できるのでしょうか。
今後のウクライナ情勢によるでしょうが、ロシア非難が大きくなればなかなか参加するのは難しくなります。なにしろ経済と言えばアメリカはやたらと強引な手を使いますからね。

今回のウクライナ問題も結局はロシア対ウォール街の問題で、エネルギー資源やロシア国内投資環境などがウォール街の自由にならないことから起きたものらしいです。
クリミヤ半島に軍事侵攻したのも、ロシア海軍・黒海艦隊の母港のあるクリミヤ半島がウクライナへ入り込んだ欧州の手先によって危険なってきたからでしょう。
ここら辺の事情は、全く中共の南シナ海、東シナ海の事情とは違っています。
ウクライナ情勢が混沌としているのは、反ロシア勢力(ウォール街の意思で動こうとする勢力)がプーチン潰しを画策しているだけだからではないでしょうか。

安倍首相の提案にプーチン大統領は、北方領土問題などの2国間関係やウクライナ情勢について意見交換し、両国間の対話を継続することが重要とのことで一致したそうです。
北京だけではなく、今後開かれるもろもろの国際会議で、安倍・プーチン会談は可能なわけです。これは他国が干渉しようにも、どうにもできないはずですね。

また、米ニューヨークで開催中の国連総会では、岸田文雄外相とラブロフ外相との会談も調整中だとか。実現すれば、クリミア併合後の日露の閣僚レベルでの直接会談としては初めてとなります。外相会談では、プーチン氏の来日について議論される可能性があると言うことですが、それよりもプーチン大統領の口から、「クリミヤ併合は中共の東シナ海侵略とは全く訳が違う」という一言が欲しいですね。
日本は、尖閣諸島への中共の侵略に対して、「力(武力)での現状変更は断固として認められない」として中共を牽制していますから、同じロジックですとクリミヤ併合は認められないわけです。

クリミヤと尖閣の異なる事情によって、日本はロシアとの交渉を続けられるのかどうかが決まります。そして対中戦略に置いては、ロシアと協調することが可能になります。つまり、国際社会でさらに中共を追い込むことが出来るわけです。

ソビエト崩壊後の東ヨーロッパの複雑な事情があります。ウクライナでロシア人とウクライナ人の差別や混乱は日本側がとやかく言うことは出来ません。
ただ、ロシア経済がもっと元気になれば、このような問題も薄れていくことは確かではないでしょうか。そして経済の問題ならば、日本も協力できることを暗に伝えればいいと思うのですけどね。

北邦領土の問題は、これから長時間かけて取り組んでいかざるを得ない問題です。
ロシアの経済発展は、我が国の対中戦略にとって有効な問題のように思います。優先順位を間違わないように頑張ってください。

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