2019年11月18日月曜日

地方銀行の生き残り策

銀行を題材にしたドラマがテレビで放映されていましたが、現在は確実に銀行が事業転換をしなければならない時代になっています。

原因はもちろん財務省のプライマリ・バランスです。「税金で上がった金額の中でしか公共投資を行わない」という方針で、市中からお金が無くなって行くからです。
「孫子の代まで借金を残さない」というミクロ経済の話をマクロ経済にまで持ってきたからこのようなおかしなことが起きるのです。
政府と中央銀行を切り離したのはインフレ対策で、デフレの時は政府と中央銀行は「統合政府」として機能しなければなりません。
当たり前のことです。

MMTは現代通貨理論と訳されますが、本当は理論ではなく「お金の本質」を述べただけの文章です。
世の中が必要とするお金を供給し、過剰供給を調整するのが「税金」の役目であることは、すでに周知のことになっています。
このような主権通貨が正常に運用されていれば、銀行は正常に運営されていたはずです。財務省が「お金の本質」を無視する政策を取るために、現在の銀行は生き残りを掛けた事業転換をせざるを得ない状況になってしまいました。

SBIホールディングスが「第4のメガバンク」という構想を打ち出したのです。
SBIホールディングスとは、ソフトバンクグループの金融関連企業として設立(SoftBank Investment)されたものですが、さまざまな事情があってソフトバンクグループを離脱し、現在は頭文字を同じにした「Strategic Business Innovator」ホールディングスとなったものです。

その構想とは、SBIが過半を出資して持ち株会社を設立し、そこに全国の地銀やベンチャーキャピタル、運用会社などが出資して協力関係を築き、持ち株会社は参加する地銀などの業務システムやフィンテックなどのインフラや資産運用の受託ほか、人材の供給、マネーロンダリングの対応など幅広い商品・サービスを提供する、いわば「プラットフォーム」となる持ち株会社の構想です。

要するに地方銀行や信用金庫などの機能強化のために共同しようという主旨の構想で、今後普及するであろう暗号通貨やネット決済システムに対応し、「社会課題解決型ビジネスモデル」を構築していく考えのようです。

地方銀行に対して民間企業が出資し、その筆頭株主になって役員を選定したり、本来は商売敵のはずのゆうちょ銀行と手を組むなど、これまでにない流れも出来ています。
現金自動預払機の日本ATMのシステムを共通化して、どこでも現金を引き出せるようにするなど、生き残りをかけた改革が始まっています。

社会課題とは何でしょうか。最初に頭に浮かぶのは「高齢化社会」とか「少子高齢化」などの問題ですが。もはやそれだけでなく「降雨量の増加による社会インフラの再構築」とか「被災時の交通と流通の確保」など多岐にわたっています。

本来は日本政府がやらなければならないことを、地方自治体がやらなければならず、必要な資金も財務省のプライマリバランス政策のおかげで供給されません。
このような時代にSBIホールディングスはどのように資金運用をするのでしょうか。

地方自治体は個人ではなく、従って寿命はありませんから、極めて長期の融資でも可能です。100年くらいの融資期間を考えることも可能なはずです。
その資金でインフラの整備とか、被災時の為のシステム作りなどが行えれば、地方社会に資金が供給されます。

これが全国規模で行われれば、日本全体に資金が供給され経済は成長するでしょう。
地銀の借金は増加しますが、貸出先が地方自治体であり、現在の低金利で返済にリスクが無ければ焦げ付きはおきないでしょう。
社会課題にお金が回れば、そこで働く人にもお金が供給されます。お金が供給されれば景気は上向きます。利益が上がれば税収も自動的に増えます。

景気が良く成れば資金需要も出て来るでしょう。資金需要が出ればお金は自動的に日銀から都市銀行に出てきますし、都市銀行から地銀に資金は流れます。
つまり「社会課題バブル」を起こせば良い訳です。

「社会課題解決型ビジネスモデル」で利益が上がるようにするにはどうしたら良いか、今後のテーマはこのような方向に集約していくのではないでしょうか。

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