フィリピンのドゥテルテ大統領が10月29日から31日まで来日していました。大統領はどうしても安倍首相に聞きたいことがあったようです。
おそらくそれは11月13日にマニラで開催される「ASEAN会議」にトランプ大統領が出席するため、まだトランプ氏に会ったことのないドゥテルテ大統領が、信頼する安倍首相に「あいつはどんな奴なのか」を訊ねたかったのではないかと推察いたします。
アメリカ嫌いのドゥテルテ大統領は、南シナ海での中共の侵略問題を抱えながらも、アメリカ軍に「出ていけ」と言ったり、中共との貿易促進に前向きだったりと、アメリカを逆なでするようなことばかりやっています。
しかし、北朝鮮の問題には日米に協力する形で北朝鮮との貿易を止めました。
また中共との貿易拡大に走ったとはいえ、ドゥテルテ大統領は南シナ海・東シナ海への侵略を強める中共に対しては懸念を持っています。
トランプ大統領も今回のASEAN会議には出席したくなかったようです。まあこれだけアメリカ嫌いのドゥテルテ大統領ですから、さすがにトランプ大統領も出席に二の足を踏んでいたのではないでしょうか。
そのトランプ大統領の背中を押したのは安倍首相でした。
9月に行われたニューヨークでの日米首脳会談で、「フィリピンにも行かねばならないのか・・」と渋る大統領に、安倍首相は、「絶対行った方がよい。あなたとドゥテルテ氏はきっとウマが合う」と進言したそうです。
それを聞いた途端、トランプ大統領はすぐにマクマスター大統領補佐官に向かって、「シンゾーが言うなら間違いない。フィリピン行きの日程を調整してくれ」と指示したとか。
なんとも安倍首相に対するトランプ大統領の信頼は高いようですね。
一方、昨年10月に行われた日比首脳会談の時、ドゥテルテ大統領は会議の席上でアメリカ批判をまくし立てたそうです。
その時、安倍首相はドゥテルテ氏に向かって、「私の祖父(岸信介元首相)もGHQに戦犯として3年間拘置された。だが、日米安保条約を改定し、現在の日米同盟の基礎を築いたのも私の祖父だ。私怨ではなく国益を考えたからだ」と述べて、ドゥテルテ氏に過去よりも未来を考えるように示唆したとか。
フィリピンの未来にとっての国益が、中共との貿易拡大にあるのか、それとも日米などとともに国際法を遵守し、さらに進化させながら不法行為を抑える方向に向かうのか、それを考えるよう示唆したとも取れます。
ドゥテルテ大統領はこの安倍首相の言葉に感銘を受けたように見えたそうです。
それにしても、これまでドゥテルテ大統領はアメリカ非難を大声で演説していますし、「米軍はフィリピンから出ていけ」と演説するなど、アメリカへの憎しみを露わにしてきました。
そこを習近平主席に付け込まれ、南シナ海問題を抱えながらも、中共との関係強化を図ってきたわけです。
それに加えて、「暴言王」とか「犯罪バスター」などとマスコミに揶揄される大統領です。トランプ氏が逢いたくない気持ちも解りますね。
しかしトランプ大統領もドゥテルテ大統領も国家主義の愛国者です。そして暴言を吐くのはお互い様で、立ち位置が違うだけなのです。裏があって、駆け引きをしているわけではありません。
率直に話し、率直に怒っているわけです。ドゥテルテ大統領はアメリカに怒り、そしてトランプ大統領はマスコミに怒っています。
ですから安倍首相は「きっとウマが合う」と言い切ったのでしょう。
「国家主義の愛国者」に対峙するのは「グローバリストと反国境主義(国境をなくしましょう)」です。移民に寛容であったり、難民救済に人道主義を持ち出すのは常に反国境主義者です。
国家が崩壊すると困るのは住民であり、多くの悲劇がそこから生ずることは人類史からも明らかなのですが、その国境崩壊をなぜか「人類の進化系」のように語り始めます。そしてその語り口はいつも「宗教的」な示唆を含めるのです。
中華思想はグローバリズムで反国境主義ですが、それに人種差別の嗜好が入ります。華人が最上位で、夷狄(いてき)が下層民族として差別をつけます。
この中華思想を共産主義に置き換えたのが中華人民共和国です。国際法を「夷狄が作った法律」として排除し、「華人が作った法律しか認めない」とする意識が中共の「国際法無視」の背景にあるわけです。
「グローバリストと反国境主義」だけのものはディアスポラ・ユダヤ主義であり、国家を持たない民族として経済力だけを頼りに生き抜いてきた民族の悲願なのでしょう。
そしてこの立場から世界を誘導しようとするのがジャーナリズムとなって、各国のマスコミに繋がっているわけです。
安倍首相が信頼されている各国の首脳には、トランプ大統領を始め、フィリピンのドゥテルテ大統領、インドのモディ首相、英国のメイ首相、ロシアのプーチン大統領など、国家主義者が多いように思います。
しかし安倍首相は、経済政策において「グローバル経済」を踏襲しているようです。国家主義を持ってしても、現在はグローバル資本が強くなりすぎています。
経済政策が国家単位では出来なくなってきているのが現状です。ですから上に挙げた国家主義の首脳たちも、なかなか経済政策が思うようにいかないのですね。
ですから安倍首相もグローバル経済に傾いています。財務省がそうだからでしょう。財務省だけはウォール街のいうことは聞いても、日本政府の言うことは聞きません。自らを「『円』の番人」などと称して国民のことよりも通貨「円」の方を大事にしているようですね。
早く財務省は人間を排除してAIに置き換えた方がいいかも知れません。財務大臣だけ居ればいいのです。
そして移民受け入れなどにも積極的に取り組んでいる安倍政権です。国内に反対が多いにも関わらずです。
この移民の問題では、受け入れのスピードがゆっくりであれば我が国は大丈夫です。日本語が我が国のバリアーにもなっているからです。
それに気が付いたグローバリスト達が、盛んに英語教育を進めます。小学校から英語教育を始めるなど、植民地がやらされることですよ。社内会議を英語化しようと言うのは反国境主義の会社ですね。
我が国は英語圏やロシアとは違っています。そして安倍首相は決して反国境主義者ではありませんから。
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