2017年5月13日土曜日

憲法改正、新たな一手

安倍首相が出した憲法改正に関する具体案が、現在自民党や公明党、そして民進党を始めとする野党を混乱に落としているようです。

2020年までに改正を実現すると時間を切ったことと、変更箇所は憲法9条であって、現在の文言はそのまま残し、そこに3項を追加して自衛隊を明記すると言うものでした。

これでもう議論の余地など無くなりました。戦後60余年、自衛隊が違憲か合憲かという不毛の議論を繰り返して来た平和ボケの日本の政治・議会とマスコミです。それに終止符が打たれるわけです。

「憲法9条を守れ」とは、第2項を守ることです。そして第2項には・・・
「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」とあります。
これを保持したうえで、自衛隊を憲法の中に位置づけようと言う訳です。

どのように位置づけるのか、例えば・・・
「第3項)日本国の安全を保障するために日本国民は自衛のための組織を持つことが出来る。この安全の保証とは、自然災害、並びに他国(あるいは犯罪組織)による威嚇又は武力の行使があった場合に備えることであり、その場合に限り自衛権の発動を可能とする」と言うくらいで良いはずです。

「自衛のための組織」が自衛隊であろうと防衛軍であろうと、あるいは日本国正規軍であろうとそれはどれでも良いのです。

そして「他国による威嚇又は武力の行使」とはどういう事態かを明文化してはいけないのです。それは日本国の主権に於いてその時の政府が判断することでなければなりません。威嚇に対しては、防御を目的とした敵基地攻撃も可能になるはずです。そして威嚇されたかどうかも、時の日本国政府の判断に任されます。
同盟国や准同盟国に対しての第3国の威嚇もしくは武力行使も、時の政府の判断によって「我が国に対する武力行使と同等に扱う」と宣言すれば良いのです。

そしてこれはあくまでも防衛目的であって「国際紛争を解決する手段」ではないことを国会答弁で明確にしておきます。
つまり第2項の「前項の目的=国際紛争を解決する手段」としての陸海空軍その他の戦力は持たない・・文言とは矛盾せず、そして「国際紛争を解決する手段」としての国の交戦権を認めたものでもないわけです。

こうして憲法第9条は守られ、そして自衛隊は合憲となり、さらに自衛隊を公務員から引き離して軍隊組織に編成替えをすることも出来ます。
自衛隊法も大きく変えられます。そしてさらに軍事予算を増加出来ると思います。特に中共が尖閣諸島や台湾に国際法無視やら条約違反の行動を仕掛けてくれば、自衛隊の強化、さらに新たな事態に対処するための軍事技術の開発にも予算が取れるでしょう。

防衛産業は裾野の広い産業体系です。景気回復の役にも立ちます。

この安倍首相が提案した憲法第9条への自衛隊の追加項目案は、これまでの憲法論議とは全く異質なものでした。
そして芦田修正がもろに効果を発揮するはずです。自衛すら出来ない憲法が、まともな憲法でないことは以前から言われておりましたし、その点を鋭く追及していたのは共産党の野坂参三氏でしたからね。

「9条の会」も何も言えないはずです。9条も第二項も残るわけだし、一字も変えないのですからね。

まず公明党は反対出来ないと思います。自衛隊は必要との見解ですし、創価学会にも自衛隊の方が居られるのではないでしょうか。

民進党は、これによって「自衛のため」といって軍事的膨張が始まることが懸念されるなどと言うかも知れません。しかし懸念であってもそれはまだ未知数です。国民がどう判断するかですが、おそらくこの憲法改正なら賛成するのではないでしょうか。民進党の方が国民から見放されるように思います。

共産党は反対するでしょう。しかし何故反対なのかその理由をどう説明するのでしょうか。「ともかく憲法は一字一句変えてはいけない。追加もダメ」と言うのでは国民を納得させられないでしょう。宗教議論になってしまいますからね。
自衛権も放棄すると言えばまったく国民から見放されますね。「若者を戦地へ行かせない」では意味が通らないでしょう。

自民党内部には憲法改正を安倍政権の足を引っ張るために利用しようとする力学が働いているように見えます。
しかし安倍首相は動じないでしょう。やがて自民党はこの提案の詳細を煮詰めていくことになると思います。

国民も「自衛隊を憲法の中に位置づける改正だけ」となれば賛成は過半数を超えると思います。
安倍首相の熟慮された「憲法改正案」です。
GHQによる「押し付け憲法」は、こうして日本国民の物になって行くわけですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿