2011年4月25日月曜日

復興債権はぜひ無利子国債で

最近復興資金を増税でまかなおうという、やりきれない財政政策の話が出てきています。
消費税を3%上乗せし、8%として復興資金に当てるというもの。財務省の主導らしいのですが、岡田総務相なども「返済の当ての無い国債ではなく、将来の返済が決められた国債の発行」などとサラ金の広告のようなことを申しております。
一般企業や地方自治体ならば、このような発言でも仕方ないでしょうが、主権国家の政府が同じ発想では、どうでしょうか・・・
主権とは、軍事独立と通貨発行が行えることを含みます。「地方主権」などと変な日本語を使う政党ですから、変な政策が出てきて国民を惑わせるのでしょう。

産経の田村秀男氏(編集委員)が、円高を梃子にした復興債発行を提言しております。
この中で、「未曽有の大震災に見舞われた上に、政府は機能不全で原子力発電所の放射能漏れを止められない。そんな国の通貨は暴落すると思いきや、円高が続く。なぜか」と、円高の問題を切り出しました。
その答えとして「日本は世界に比類のない債権国。民間が海外に持つ巨額の外貨建て金融資産を国内資金需要に回せるゆとりがある。インフレ政策をとる債務国米国のドルに比べて円の値打ちは下がりようがない。海外の投機勢力はそう読む」と説明します。
そして、「3月11日の東日本大震災後、ニューヨーク市場で1ドル76円台まで円相場が急騰、財務相・中央銀行総裁会議の電話会談が開かれ、各国は急遽、協調介入に踏み切った。最も積極的だったのは、米国である。もちろん大災害と円高進行の日本経済を救うためではない。
米金融市場がいわば日本発『金融版大津波』に襲われることを恐れたからである。」と述べておられます。

田村氏によると、「日本の国際金融業務での影はいかにも薄い。ところが東日本大震災を受けて国際金融市場のスポンサーとしての日本の存在の大きさが浮き彫りになってしまった。震災直後は日本の余剰資金のUターンラッシュが起きると投資家は読み、慌てて米国債を売り、とりあえずは日本国債を買って円高に賭けたということ」だそうです。

2005年あたりから、日本の銀行は対外融資を急膨張させてきたとか。原因は国内の慢性デフレに伴う国内向け資金需要の低迷。
その結果、英国(約5・7兆ドル)、アメリカ(約3・5兆ドル)に次ぐ約2・82兆ドルの国際債権を持つに至ってしまったとのことです。
しかも、英米はこの債権(貸した金)に対して債務(借りた金)も大きいのですが、日本の場合債務が少なく、圧倒的な債権大国になってしまったということです。
BISに加盟する全銀行の純債権合計が1兆9千億ドルであって、その中で日本の銀行が占める割合は、なんと85%の1兆6300億ドルを占めているとか。

このように歪んでしまったのは、日本の財務省の戦略ではなく無策の結果です。
財務省と日銀は、慢性デフレに悩まされ続けている日本経済を見ながら、それを無視してインフレ対策ばかり打ってきました。国民と民間企業に向かって、「返済の目処の立たない借金はするべきではないでしょう」とか「膨大に膨れ上がった借金をどうするのか!」というようなミクロ経済に立脚した発言。家計とか企業会計だけを日常見ている民間は、「そうだなぁ」と思ってしまいます。
これが慢性デフレの解決しない究極の原因ではないでしょうか?

東日本大震災を受けても、政府はいまだに同じ言葉を繰り返します。震災の不幸を利用した増税議論。そして慢性デフレはますます悪化の一途です。
田村氏は、「政府が巨額の復興国債発行を決め、日銀が発行規模に応じたお札を刷って市場に流す。すると、通常は通貨の大量増発ということで円急落の要因になってしまうと心配する向きもいる。ところが、復興国債を買うために民間金融機関が外貨建て資産を換金する際に円が買われるので、円相場はむしろ上昇するかもしれない。米国にはない金融債権大国の利点である。」と解きます。
そしてこの復興国債は無利子国債にしてほしいですね。無利子なら海外の買い付けはないでしょう。(日本の銀行が買う、ではなく買わせる、ですね)
日銀はお札を刷る必要もなく、どこかの端末に何兆円かの数字を打ち込むだけでいいと思います。わずか30分もあればすぐに出来ること。
あとは政府が銀行の中にある札束を被災地の復興に、惜しげもなく渡していけばいいだけです。

もともと日本の借金は1000兆円規模。そこに100兆円程度の追加があってもそれほど変化はないでしょう。(10%増加)
そしてそれがデフレ脱却のトリガーになれば、経済成長規模の物価上昇があって、金融は活性化し、税収は上がり、相対的に債務は減少します。(10%のインフレになれば発行した復興国債は相対的にチャラ)
それから消費税のアップ(同時に所得税減税)ならば大いに効果があるはず。円安傾向が生まれ、輸出もやりやすくなるでしょう。

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