元航空自衛隊航空支援集団司令官の織田邦男元空将が、東シナ海上空で中共の空軍の戦闘機が空自機に対し「攻撃動作を仕掛け、空自機がミサイル攻撃を回避しつつ戦域から離脱した」と述べたのは6月28日のことでした。
元空将の話では、「(スクランブルで出動した空自戦闘機に対し)攻撃動作を仕掛けてきた。空自機はいったんは防御機動で回避したが、ドッグファイトに巻き込まれ、不測の状態が生起しかねないと判断し、自己防御装置を使用しながら中共の戦闘機によるミサイル攻撃を回避しつつ戦域から離脱した」と言う事でした。
そして織田元空将は、「常識を度外視して、中共の国軍機が尖閣上空まで近づいてきている。これが常態化すれば領空の安定は守れなくなる」と強調したそうです。
このインターネットのニュースに対して、中共側は次のようなコメントを出してきました。「空自機が中共の国軍機に高速で接近して挑発し、レーダーを照射した」と反論してきました。
中共の国防省によりますと、「SU30戦闘機2機が『東シナ海の(中共の言う所の)防空識別圏』を通常通り巡航していた際、空自のF15戦闘機2機が高速で近づき、レーダーを照射。中共の国軍機が対応したところ空自機はミサイルなどを攪乱(かくらん)する『フレア』を噴射して逃げた。」ということです。
どっちが正しいかなどを論じていても意味はありません。同じ空域を防空識別圏にしたのですから、日本は日本の法律に基づき言っているわけで、中共側は中共の法律に基づいて言っているだけです。
そしてこれを戦争状態と言います。つまり勝った方が正しくて負けた方が悪い事になるのです。
官房副長官の萩生田光一氏は、「6月17日に中国軍用機が南下し、自衛隊機がスクランブル発進をしたことは事実」と述べ、その後に「攻撃動作やミサイル攻撃を受けたというような事実はない」と述べております。これはパイロットしか判らないことで事実かどうかは判りません。
また萩生田氏は、「現役(自衛官)の応援の意味も含めての発信だと思うが、国際社会に与える影響も大きい。内容については個人的には遺憾だ」と述べております。
現在を平和な状態とした意見ですが、織田邦男元空将は現在を戦争状態とした発言と見て良いでしょう。
さて、問題は現在が平和状態なのか戦争状態なのかを議論しなければならないでしょう。
少なくとも中共の習近平主席は、人民解放軍に対して「戦争の準備を知ろ」という命令を出していますから、敵側は何時でも戦争に入れる体勢にあることは間違いないでしょう。
しかし日本はそういう状態ではありませんから、戦闘状態にはないわけです。どちらも宣戦布告をしては居りません。
中共は「国際法は欧米の法なので守らない」と、イスラム国のような言い方で「アウトロー宣言」をしておりますから、法に準ずる気持ちはないでしょう。
しかし国際社会の評判は気にします。ですから先に弾を打つことを避けたいだけです。そして日本が憲法上戦闘行動が出来ないことを知っています。ですから戦闘にならない戦争状態を作り出しているわけですね。
目的は国内の意思統一を促すためであって、日本を利用しているだけでしょうから。
自衛隊の方は苛々させられているように見えます。そしてこれは危険なことです。
織田邦男元空将は、この状況では「領空の安定は守れなくなる」と述べていますが、苛々が募った結果の発言ではないでしょうか。
敵が苛々作戦に出てきているのですから、これではその作戦に乗ってしまったも同じです。対策としては、こちらも積極的に敵を苛々させる作戦に出ることです。
その上で決して先に弾は撃たないように厳命することです。
敵がパトロールしているのであれば、こちらもパトロールして、敵のスクランブルをさせて見たらどうでしょうか。
その上で敵戦闘機を日本上空に引き寄せ、さらに太平洋に追いやって行くことは出来ないのでしょうか。
日本上空であれば自衛隊機はどこかの基地に着陸できます。オーバーラップするように別の空自戦闘機がさらに敵戦闘機を太平洋側に追いやって行けば、燃料切れで墜落するはずです。一発も弾を撃たずに撃墜できます。
空中戦のことは良く知りませんが、ドッグファイトは敵機の後ろについて銃撃あるいはミサイルで撃つ態勢を取るために行われるファイトです。
同じように敵機を敵基地から遠ざけ、燃料切れに持ち込むファイトはいかがでしょうか。
この戦法は三菱が運動性能の割に燃費のいい戦闘機を開発する切っ掛けにもなるでしょう。
もちろん敵側もこのようなファイトを編み出してくるでしょうから、後はパイロットの錬度が決め手になるはずです。
空自は今後このような訓練を始めたらどうでしょうか。それだけで敵パイロットを畏縮させる高価があるかも知れませんよ。
スクランブルを掛けながら苛々するのは止めましょうね。
0 件のコメント:
コメントを投稿